NBAバレエ団「HIBARI」(メルパルクホール東京)


6月13日(土)に、メルパルクホールで、

NBAバレエ団「HIBARI」〜全ての美空ひばりファンに捧げる

を見た。

過去ログのこの公演である。→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20150314/p3

この日は、シアターGロッソで、午後1時からの「ペルソナ3」を見て、そのあと、水道橋〜浜松町へ移動。


NBAバレエ団が、美空ひばりの人生とその名曲をバレエでえがくということで、けっこう楽しみにしてはいたのだが、残念ながら、この日のステージは不満の残るものだった。

タイムテーブルは、

第一部「A Little Love」が、25分。休憩が、20分。第二部「HIBARI」が、70分。

午後5時開演で、終演は、6時間55分だった。

(「A Little Love」というのは、ニーナ・シモンがうたう5つの楽曲に、マーティン・フリードマンが振り付け)


入場の際に配役表が配付されたのは親切だが、「HIBARI」の美空ひばり役の女の子は、「子役」としか書かれていなかったので、プログラムを購入(1000円)してみたが、プログラムには、バレエ団のメンバーの「写真付き連名」は載っていても、今回公演の配役等はなく、結局、子役の名前は非公表らしい。
カーテンコールにもちゃんと並んでいたのに、名前も出ないとは、じつに、疑問であった。

子役はバレエシューズで、ひばりの子ども時代を演じ、終盤になって「人生一路」にも少し出演シーンがある。


疑問といえば、オーケストラを入れていないのに、オーケストラピットのスペースをわざわざ空けて、5列を最前列にしていたのも、虚しい空きスペースと思わざるを得なかった。

音楽が生演奏ではないのに、オケピットのスペースだけをわざと空けてあるというケースは、他のバレエ公演や発表会でも遭遇することがあるが、あれはいったいどんなメリットがあるのだろう? 観客にとっては舞台が遠くなるだけ。ダンサーにとっては、すぐ近くに観客がいないほうが踊りやすいのか? だったら、前から1〜2列を販売せずに、空席にしておけばいいのでは?(じっさい、そうしている公演等も見たことがある)


疑問ついでに書くと、「HIBARI」の上演がはじまると、関係者と思われる女性が、1階上手側中ほどのドア付近や、やや後方の上手端の座席に座ったり、脇の通路に立ったりを繰り返しながら、デジタル一眼レフらしきカメラで舞台を撮影していたのが、とても目ざわりだった。私は、その女性よりも、後ろの席で見ていたこともあって、動きが目に入ってしまう。

ステージ写真を撮るだけならまだしも、客席からフラッシュも使っていた。フラッシュが光ったのは、せいぜい7〜8回だったが、手持ちのカメラで立ったり座ったりを繰り返しながら、舞台を撮るというのは、その姿が視界に入る観客がいることを全く考慮していないのだ。
プロのバレエ団なのに、舞台写真の撮影をする会社やカメラマンを頼んではいないの?

1階席のうち、両端のブロックには空席が目立っていたから、そこから写真を撮っても大丈夫という判断だったのか。普段から、身内や常連客ばかりを相手に公演をしていると、関係者もこんなことが平気で出来るということだろうか?
もっと前方で真ん中寄りの座席にでもいれば、ほとんど気にならなかったかも知れないから、安い席(といっても、8000円である)に座ると、関係者にまで安く見られて舐められる、ということかな。


「HIBARI」は、ナビゲーター(和央ようか)の語りに、映像も交えながら、美空ひばりの人生を紹介しながら、そのヒット曲の数々をダンサーたちが踊る、というもの。ナビゲーターは、語り手にとどまらず、ひばりの曲のいくつかもうたう。

美空ひばりの名曲を、ショーダンスではなく、バレエで表現するのは新鮮で、時間が経つに連れて違和感もなくなり、おもしろくなったのだが、ある程度、美空ひばりについて知っている観客にとっては、ひばりの紹介の仕方があまりにも紋切り型のダイジェストと感じなかっただろうか?
時系列に並べた楽曲(うた)と踊りだけでステージを構成する方法もあったのではないか。

「HIBARI」では、ちょっとした音響トラブルと、マイクの不調があった。音がおかしくなったことで、シルクハットに燕尾服のダンサーたちの踊りが少し乱れたようだったし、ナビゲーターのマイクの不調で、語りの声がとぎれとぎれになるなど、序盤のこのトラブルは、写真を撮っていた関係者の存在とともに、舞台を見る集中を削ぐには充分なものがあった。

カーテンコールは、スタンディングオベーションもあり、一部の客席はずい分と盛り上がっていた様子。


NBAバレエ団の公演を見たのは、今回が2度目だったが、私がこのバレエ団を3度目に見ることはないでしょう。

ここ2、3年は、バレエを見る回数も減って来ていて、(地震があって以降は)八王子方面へも足が遠のいてしまったし、これを機として、バレエを見るのをやめるのも、ひとつの選択だと思った。

若い頃とちがって、苦情をいうのも面倒に感じるようになったし、せっかく、お金と時間を使うのなら、いやな思いをせずに舞台を楽しみたいものである。自分の年齢、家族の健康を考えたら、この先いつまで、観劇という趣味が続けられるかは分からないのだから。