東京シティ・バレエ団/ティアラ“くるみ”の会 第24回くるみ割り人形(ティアラこうとう大ホール)


12月20日(日)に、ティアラこうとうで、

東京シティ・バレエ団/ティアラ“くるみ”の会「第24回くるみ割り人形

を見た。(今年の公演の主な配役は、→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20091006/p2)


15時開演。

ロビー掲示の上演時間は、『一幕 55分、休憩 20分、二幕 60分』

公演プログラム、500円。ロビーには配役表も置いてあった。

今年のプログラムの配役(配役表も)には、ティアラ“くるみ”の会の出演者の名前にアンダーラインが入っていて、東京シティ・バレエ団からの出演者とティアラ“くるみ”の会の出演者とが見分けやすくなっている。

過去公演のプログラムは売っていなかった。…昨年買っておいて、よかった。


開演前にプログラムを見ていて、まず目に留まったのは、夢の世界からもとの客間に戻った終幕のクララが、昨年とちがって子役のクララになっていること。そもそも「客間のクララ」というのだから、最後の客間(翌朝)で、再び子役に戻らないほうが不自然だったと思う。


指揮:福田一
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:江東少年少女合唱団


くるみ割り人形」(構成・演出・振付:石井清子)は、全二幕八場。

昨年公演の雑感(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20081226/p1)に、およその流れは書いたので、以下、今年(第24回)は簡単な印象記として。


12月20日の主要配役は、

クララ: 井野口恵
客間のクララ: 岩崎佳音
フリッツ: 中村瑛人
くるみ割り人形の王子: 岸本亜生
金平糖の女王: 志賀育恵
コクリューシュ王子: キム・ボヨン
ドロッセルマイヤー: 青田しげる
ねずみの王様: 李悦


[第一幕]

第一場の『雪の道』は、クララの家のパーティーへ向かう様子というより、クリスマスの日の街の情景を見せる趣きになっていて、「スケート」や「買い物」の子どもがおもしろい。


『クララの家の客間』では、パーティーの間、下手にあるカッコー時計の針がどんどん回って、時間が進んで行く。
客間にドロッセルマイヤーが現れると、ストップモーションになる。客間にいる人々が動かなくなってしまったなかで、ドロッセルマイヤーはクララだけに、ツリーやかっこう時計を点滅させて不思議な魔法の一端を見せる。これが、後の場で、クララを夢の世界へいざなうための布石、あるいは暗示になっていると見ることが出来、なかなか洒落た演出だ。

この日のクララは、表現力に富んでいて、出演シーンにはドラマ性が感じられた。演じる岩崎佳音さんという子は、昨年の「くるみ割り人形」の配役を見ると、3ステージ全部に出演している。

男子が演じるフリッツにも、それらしい味があって、いい。プログラムをさかのぼると、彼も、年々役柄がステップアップしていて、昨年は1ステージだったフリッツ役が、今年は2ステージに増えているのが分かる。


パーティーの終盤は、フリッツが椅子で眠ってしまったところで、シーンがストップし、幕前の『帰り道』になる。ドロッセルマイヤーもかばんを手に、帰って行くのだが、おかまいなく次の場にまた登場する(わざわざ帰るなよ、とツッコミを入れたくなるが、後の場はクララの夢の中なのだから、それでいい訳か…)。


真夜中の客間、下手の椅子でくるみ割り人形を抱いて眠ってしまうクララ。座席が下手側の端だったので、その椅子の後ろに、夢の中のムーア人形が出番を待って隠れているのが見えた。

コロンビーヌ、ピエロ、ムーア人形の3体がミニチュア化した子役の小人形は、今年もばつぐんのおもしろさ。『ねずみとおもちゃの兵隊の戦争』では、細かい演出に目が離せないが、小人形のムーアと「松葉杖ねずみ」がぶつかる場面などは、出色。


クララが大人に変身してくるみ割り人形の王子とペアになる『雪の国』。粉雪のコールドバレエでは、2階下手側バルコニーで江東少年少女合唱団のコーラスがあるが、1階下手側の座席からでは合唱団が見えなかったのは、残念(チケットを買ってから、この席位置だと合唱団が見えないことに気づいた)。


[第二幕]

クララをお菓子の国へ招いたくるみ割り人形の王子が、ふたりを迎えた金平糖の女王とコクリューシュ王子に、クララの助勢でねずみの王様を倒した戦いの様子を話す「再現」を、小人形のコロンビーヌ、ピエロ、ムーアがそれぞれクララ、くるみ割り人形、ねずみの王様に扮し、お面をつけて、舞台下手で演じるのが、いちばんの見どころ。

夢の中のコロンビーヌ、ピエロ、ムーア人形の3役は、出演時間も長く(お菓子の国からもとの客間へつなぐ幕前まで出る)、子役としては、ある意味、客間のクララよりおいしい役ともいえる。(ピエロの子が、かわいかった)

この「戦いの再現」は、たとえば、井上バレエ団の「くるみ割り人形」では王子がひとりで(パントマイムで)演じて見せ、バレエ シャンブルウエストの「くるみ割り人形」だとカヴァリエールがねずみに扮して出て来るなど、カンパニーによるちがいが面白い場面のひとつだ。


すでに書いたように、終幕(第二幕第三場)の『クララの家の客間』は、翌朝(時計の針は、6時)になって、今年は、クララも子役に戻って、「客間のクララ」がくるみ割り人形を手にしての思い入れで、幕となった。


カーテンコールは、オールキャスト。下手側バルコニーから江東少年少女合唱団のクリスマスソングあり。カーテンコールで客間のクララがくるみ割り人形を抱いていたのも、昨年同様。

終演は、17時19分頃。


だけど、このティアラこうとうの「くるみ割り人形」は、やはりいちど、2日目のステージを見てみたいものである。

2010年の公演は、12月24日(金)、25日(土)、26日(日)の3日間の予定。

また、ティアラこうとう・ジュニアバレエ団第5回発表会は、2010年5月2日(日)に予定されている。