女たちの忠臣蔵 (明治座)


明治座創業140周年記念公演
「女たちの忠臣蔵
(橋田壽賀子 作、田井洋子 劇化、石井ふく子 演出)

1月2日(月・休)の初日を観劇。11時30分開演。

上演時間は、第一幕 1時間40分、幕間 30分、第二幕 1時間35分。

カーテンコール、なし。


「女たちの忠臣蔵」は、前回(2006年)の明治座公演では、『擬斗 伊吹謙太朗』だった。今回も堀部安兵衛役で出演しているから、殺陣もそうなのかな?子役が出ていなくてもプログラムを買えばよかったな。1000円を惜しんだ(この1000円は、平成中村座試演会に回そう)。いや、買わないまでも、もっとよく見本を立ち読みして来るべきだった。


転換つなぎの幕前芝居がないのって、ホント、いいよね。ないに限る。

(そういえば、「おしん」もなかったね。菊田一夫の「放浪記」や「細雪」も転換つなぎの幕前って、ないね。ということは、いい芝居は、幕前なんていらないといってもいいかも。たしか「桂春団治」もない)


磯貝十郎左衛門(松村雄基)と、大工の娘・しの(藤田朋子)が鼓を打ち合うのが、見せ場のひとつなのだが、ふたりの演奏のレベルは、あれは、どのくらいのものなのかな?

録音ではなくて、ナマでやっているのだから、それなりのものなのだろうけど、邦楽の素養が皆無なので、分からなくて、なんか、ちょっともやもやする。そもそも、鼓を聴く機会なんて、歌舞伎の舞台で、田中傳左衛門さんとかが演奏しているのを耳にするくらいしかないのだが、本職とは較べられないし、というか、長唄の鼓と能の鼓とはどこがちがったりするの?

夫のために苦界に身を沈めた、間十次郎(丹羽貞仁)の妻・りえ(熊谷真実)が最期を遂げるシーンは凄絶。素手で掴んだ刀を引くと、刃が血糊で紅く染まるのには、ゾクゾクする視覚効果があった。


近年では、討ち入りの黒幕が瑤泉院だったとするような小説もあるし、ドラマや芝居でも、瑤泉院は討ち入りを望んでいたとするものが多いが、この「女たちの忠臣蔵」の瑤泉院(高橋惠子)は、後に残される者の苦しみ、悲しみを思えば、命を捨てるような行為には及んで欲しくないという立場で、このあたりの作者の視点には、忠臣蔵解釈という意味での面白さもある。

主役は、大石りく(高島礼子)なのだが、派手な見せ場は、むしろ他の女優陣が担っている。とはいえ、第一幕の幕切れや、終幕の永代橋の場を見れば、大石りくが主役なのだと分かる演出。


今回は子役が出ないっぽいというのは覚悟していたので、別段ショックはなかったとはいえ、年明けの初っ端から、子役が出演しない芝居を見るとは、先が思いやられる…

ま、和風サンドは、ちゃんと食えたから、よいか(笑)。弁当売り場が移動してからは、買い損なっていない。