フットルース プレビュー公演


11月3日(火・祝)に、東京芸術劇場 中ホールで

劇団スイセイ・ミュージカル
ブロードウェイ・ミュージカル「フットルース
(演出・日本語台本:西田直木、振付:吉田潔 植木豪、ローラースケート指導:川崎麻世)

を見た。

プレビュー公演で、午後6時開演。


ロビー表示の上演時間は、

1幕 70分、休憩15分、2幕 65分

じっさいは、10分ぐらい遅れて開演。終演は、8時50分頃。


プレビュー公演は、S席(9000円)を購入するとプログラム付き、との告知どおり、プログラムは無料でもらえたので、販売価格は、不明(とくに確認もせず)。

オールカラーで、メインナンバーの歌詞が載っているのはいいが、大判で、持ち運びにも収納にも不便な、最近はあまり流行らないサイズ。好きな出演者がいる訳ではないので、プログラム付きでなかったら、買うのを躊躇ったかも知れない。


オーケストラピット使用で、1階席は、F列が最前列。


日本語カバーされたヒット曲ぐらいしか知らず、ほとんど予備知識なしでの観劇だった。じつはかなり楽しみにしていたのだが・・・期待に反して面白くなくて、困惑。

とにかく、見ていて、登場人物のだれにも共感出来ないのが、辛い。

父親が出て行ってしまったために、母とふたりで、窮屈で小さな田舎町に引っ越して来た主人公のレンは、シカゴという都会で遊びまくっていたティーンエイジャー。「自由」という言葉は聞こえはいいけれど、このミュージカルでのそれは、ただ気ままに遊びたいという若者の欲望にしか見えない。たとえば、レンの側にはっきりした正義がなければ、彼の行動に説得力が感じられない。

ヒロインのアリエルは、町の有力者である牧師の娘。父親に反発して夜な夜な不良少年と遊び歩いている上、レンと出会ううち、付き合っていた不良からレンに乗り換えるあたりが軽薄にも見えて、日本人好みのヒロイン像からは隔たりがあり、魅力に乏しい。

ダンスとロックを禁止して、若者たちから娯楽を奪ったアリエルの父・ショウは、かつて、息子を含む若者たちがダンスパーティーの帰路に事故死したという過去から立ち直れずにいるのだが、事故の原因は飲酒とクスリだというから、いわば自業自得で、同情する気になれない。

転校して来たレンと友人になるウィラードは、三枚目の憎めないキャラクターだが、2幕でママがどうこうとうたうナンバーは退屈だし、役柄自体もあまり効果的ではない。

終盤、レンの言葉でショウが改心して、あっさり納まってしまうに到っては、都合のいい展開。せめて、主人公にもう少しカリスマ性でも持たせることは出来なかったものか…。いくつかのダンスシーンだけが印象に残った。


そもそもタイトルが「Footloose」なのだから、自由気ままに楽しく遊びたいっていうアメリカ的若者気質のようなものにすんなり乗れない人間にはダメな作品ということかも知れない。


唯一、よかったのは、麻倉未稀さんが「スクールウォーズ」の主題歌の歌詞そのままで「ヒーロー」をうたったフィナーレぐらい。

実質的な初日とあってか、フィナーレ〜カーテンコールは、これでもかというくらいにたっぷりで、客席も盛り上がっていた。