川口少年少女ミュージカル団第11回公演「ザッツ・ネヴァーランド」(リリアメインホール)


7月25日(土)は、川口総合文化センター リリアメインホールで、

川口少年少女ミュージカル団第11回公演「ザッツ・ネヴァーランド」
(芸術監督・脚本・演出・装置:松山雅彦、作曲・音楽・歌唱指導:松山由佳、振付・ダンス指導:大濱陽子、望月彩乃)

を見た。

1990年に川口リリア開館を契機に発足した川口少年少女ミュージカル団の3年ぶり11回目の公演ということになるようだ。私が、このミュージカル団のステージを見るのは、はじめて。

全席指定1000円。

一般に売られていたのは、関係者が押さえた後の座席だったみたいだから、チケットを買いに行ったときには、前方は端のブロックが少しずつしか空いていなかった。が、このホールの1階席は通路から前にはほとんど傾斜がないので、中途半端な中央の席よりも、かえって見やすかったかも。


午後5時開演。

終演予定は、7時15分となっていたが、少し早く終わって・・・第一幕が1時間弱、休憩15分、第二幕が55分ぐらいだったと思う。


「ザッツ・ネヴァーランド」というタイトルからして、ピーターパンを題材にしたオリジナルストーリーだろうと予想していたのに全くちがう話が展開して行くので、「読み」が外れたかと思ったりもしたが、最後はちゃんとピーターパンに着地した。このミュージカルは、ピーターパンとネバーランドが誕生するまでのお話なのである。その発想と着眼に感心しながら、心地よいフィナーレへといざなわれた。

近未来に時代を設定して、危機に瀕した妖精たちが、人間の子どもとの絆を取り戻すことで、妖精の島がネバーランドとして再生するというのがストーリーの大きな枠組。

妖精たちには、それぞれが持っている力や役割りに応じた名前があるのだが、ひとりだけ名前を持たない妖精が生まれて来た。妖精としてはどこか中途半端な「ボク」が、フェアリーランドの危機を救うために、仲間の妖精たちとともに、人間の子どもが持つという「ブルージュ」という「何か」を探しに出かける冒険譚になり、待ち受ける障害や試練を力を合わせて乗り越えて、最後には「ボク」に名前が与えられる命名譚となっての大団円。


妖精ひとりひとりの持つ力や特徴をそのままキャラクターにした群像劇ふうなつくり。最初は、(妖精らしくない)「ボク」の姿しか見えなかった人間の女の子・リンが、妖精たちと行動をともにするうちに、他の妖精の声が聴こえ、姿も見えるようになって行くという運びなど、ファミリー向け冒険型ミュージカルの定型を踏まえながら、細部も上手く創られている。なかでも、第二幕での、夜の女王と眠りの妖精・ドルミンのエピソードは、秀逸だ。

また、ミュージカルのファンタジックな世界を支えるのは、出演者たちのうたの上手さ。ソロでうたうキャストの歌の力で物語の世界に惹き込まれる。説明的な歌詞やシーンも音楽に乗せて違和感がない。
メインの男子キャストの3人が、それぞれの役柄で、舞台を締めていたのも印象的。


さらに特筆すべきは、女の子4人が演じる赤、白、青、黄色の4羽の鳥が、揃って達者な上に、すばらしく面白い!!!! この4羽による幕前芝居が、空前絶後にして、あり得ないほどの面白さ。なんじゃ、こりゃ! 転換つなぎというには、あまりにも面白すぎるカルテット。第二幕では、幕前でのやり取りからそのまま4人がフェアリーランドの世界に戻ると、そこから舞台もクライマックスへ動き出す。こうした、4羽の鳥のコメディリリーフな活躍どころは、「ザッツ・ネヴァーランド」最大級の見どころだった。


(私は、赤い鳥の子がいいと思う。…あと、ウイピーも、よいな)