ニューヨークに行きたい!!(帝国劇場)
帝劇開場100周年記念公演
「ニューヨークに行きたい!!」
(演出:山田和也、翻訳:迫光、訳詞:高橋亜子、上演台本:飯島早苗、振付:KAZUMI-BOY、大澄賢也、田井中智子)
10月29日(土)の初日を観劇。
午後5時開演。ロビー表示の上演時間は、3時間10分(第一幕 1時間25分、休憩25分、第二幕 1時間20分)。初日は、終演予定より+10分ぐらい。
劇場に着くと、1階ロビーがものすごい混雑。ロビーの階段を舞台にしての、指揮者(塩田氏)&オーケストラのメンバー数人による開演前パフォーマンスのせい。こんなことやるなんて知らなかった。プログラム売り場もひとが並んでいるし、混雑を脱出しようと2階に上がろうとしたが、広いほうの階段は通行止めで、もうひとつの階段も見物客が立ち止まっているので、2階へ上がるのもひと苦労。でも、上がってしまえば、2階の売店は空いていた。
公演プログラム、1500円。
子役は、すでに公演サイトやブログで発表されていたとおりで、
フロリアン・スタウダッハ: 吉井一肇・石川新太 (ダブルキャスト)
初日は、前者の出演。
[補記] ※こちら(→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20111031/p3)も参考に。
プログラムをめくると、このフロリアンという役が大きいことが分かるが、じっさい、こんなに男の子の子役が活躍するミュージカルはめったにない。すごいな。出番が多いだけでなく、セリフにうたにダンスに、見せ場も、しどころもたっぷりだ。
とくに、第二幕の冒頭は、フロリアンの指揮で演奏がはじまり、アンサンブルをバックにしてのソロナンバーへと続いて、彼のためのシーン、子役がさらう場になっている。カーテンコールでも、ダブルヒロインの間に入って舞台のほぼ真ん中に立っていたり、またカーテンコールになってのダンスシーンでも真ん中で踊るなど、登場から最後まで、とってもおいしいポジションだ。それでいて、トレードマークのセリフは「クール」の連発。
近年のミュージカルにはめずらしい、ハッピーエンドのラブコメディで、(客船に乗る前の)舞台がドイツというのもめずらしい感じ。
老人ホームから駆け落ちして客船でニューヨークへ向かったマリア(浅丘ルリ子)とオットー(村井国夫)を連れ戻そうと、マリアの娘で人気キャスターのリサ(瀬奈じゅん)と、オットーの息子でカメラマンのアクセル(橋本さとし)があとを追う。アクセルにはドレッドヘアの少年で息子のフロリアンが同行している。客船を追いかけてのジェノバまでの道中をきっかけに、リサとオットーは反発し合いながらも惹かれ合うが、リサはなかなかオットーを受け容れられず、さらに、テレビ番組のキャスターという仕事との間で心は揺れる。これに、リサの番組スタッフであるフレッド(泉見洋平)とコスタ(戸井勝海)のゲイのカップルのエピソードが挟まり、3組のカップルのストーリーが展開する。
第一幕の終盤で、ついに、3組のカップル(+フロリアン)が客船内で会して、さぁ、このあとどうなるのだろうと思わせたところで、ショーアップして、幕となる運びは、いかにもミュージカルらしくて、わくわくする。
メインカップルであるリサとオットーの関係には、遅れて来た「ボーイ・ミーツ・ガール」のような純情さがあって、いかにもミュージカルコメディ。ふたりがそれぞれに抱えていた親へのわだかまりがあっさりと氷解してしまうのも、ミュージカルコメディならでは。オットー、アクセル、フロリアンと、親子孫の3世代をえがいているのも、面白い。高齢者同士の恋愛というのは、いまの時代の反映であるのかも知れないが、これは翻訳ミュージカルだからこだわりなく楽しめるものの、さて、いざ日本の問題となると、素直には受け取りにくい気もする。
吉井一肇くんをはじめて見た。写真で見るより、かわいい。
セリフのキレがよくて、短いセリフも明瞭に聴こえて来る。フロリアンはクール、というよりちょっとシニカルな感じでもあるけれど、舞台が進むにつれて、子どもらしい表情が出て来るのが、ストーリーとマッチしていて、いい。また、見たいな。
フロリアンの持っているカメラは、フラッシュが光る。ハンバーガーは、じっさいには食べてなかったから、本物じゃないね。
カーテンコールは、初日ということで、メインキャストの4人(瀬奈→橋本→村井→浅丘→瀬奈)から挨拶があった。浅丘ルリ子さんはミュージカルに出るのははじめてとのこと。
プログラムを読んでいたら、客船に乗ってドイツからニューヨークまでは、10日で着くらしい。そんなに短かいのか…。