「歩(あゆみ)のおそはや」 上手と下手


今月の、集英社オレンジ文庫の新刊

杉元晶子「歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会」(550円+税)

http://orangebunko.shueisha.co.jp/book/4086800306

文庫書き下ろしのこの小説、というかライトノベル(?)、あっという間に読めた。のはよかったけれど、

本文中の、たとえば、『上手が下手に』のところで、上手に「かみて」、下手に「しもて」とふりがながしてあるのは、おかしい。

演劇やステージパフォーマンスなら、舞台の上手はかみて、下手はしもてだが、「歩のおそはや」は将棋の話なのだから、駒落ち将棋で、駒を落としたほうは上手=うわて、落してもらったほうは下手=したて、でしょう。囲碁でも、うわて、したて。

こういうのって、将棋小説を書くような作者が、まさか、まちがえたルビを振るとは思えないから、編集の段階で付けられたルビを校閲が見落とした結果、ということなのだろうか?