サムライ 評伝三船敏郎
松田美智子「サムライ 評伝 三船敏郎」(文藝春秋、1500円+税)
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163900056
三船プロダクションはどうして分裂したのか(私がまだ子どもの頃のことだったから、何があったのだろうと思っていた)。
離婚をめぐる裁判や、女性問題。黒澤明との関係。大スターの晩年の真相。
家族、三船プロや映画関係者、共演者への取材を通して、三船敏郎という人物の人柄と俳優としての存在感が伝わって来る一冊。なかでも、司葉子、香川京子、夏木陽介、宇仁貫三の語った言葉は、この本に温もりを与えている。
「世界の」という冠詞がついていた三船敏郎は、外国の映画に出ていくらぐらいのギャラをもらっていたのか。それについてのエピソードが興味深い。
個人的にいちばんの読みどころは、「上意討ち」撮影時のこと。
北川美佳が某宗教の熱心な信者だったというのは、なるほどと思った。
三船プロは、21年間で13本の映画を製作した、とある。そのうち、私が映画館で見ているのは、「犬笛」と「風林火山」の2本で、後者はリバイバル上映されたときだった。(「犬笛」を見たときは中学生で、当時は、西村寿行ブームだった)