風と共に去りぬ (帝国劇場)


帝劇グランド・ロマン
風と共に去りぬ

脚本:菊田一夫(「第1部」「第2部」)、潤色:堀越真、演出:山田和也


6月18日(土)に、帝劇開場100周年記念公演の初日を観劇。午後5時開演。

雨の日で、傘立てが空いてなかったら嫌だな、とか思っていたが、心配するほどのことはなかった。劇場のなかの、1階ロビー内の傘立てがほとんど空いていた。


ロビーに表示のタイムテーブルは、

 第一幕 5時00分〜6時15分
  (休憩 25分)
 第二幕 6時40分〜8時10分

初日のこの日は、タイムテーブルどおりの進行で、終演は、午後8時15分。5分長いのは、カーテンコールで、主要キャスト5人(米倉涼子スカーレット・オハラ寺脇康文=レット・バトラー、紫吹淳メラニー・ウィルクス、岡田浩暉=アシュレイ・ウィルクス、高橋ひとみ=ベル・ワトリング)から、初日の挨拶があったためである。


公演プログラム、1500円。

出演の子役(スカーレットとレット・バトラーの娘)は、以前にエントリーしたとおり。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20110607/p1

ボニー: 須見みちる・田邊瑶子 (交互出演)

どちらも、東宝ジュニアで、小学1年生。

子役の出演は第二幕。(「ようこそよーこの部屋」に、初日に出ると書いてあったので、この日出演のボニー役はそういうことで)


大作ミュージカルのセットでストレートプレイをやっているみたいな印象の豪華さで、ミュージカル公演とも、かつての女優座長公演ともちがう雰囲気がする舞台。帝劇の左右にある脇花道も使った演出。


風と共に去りぬ」って、映画や、(同じ帝劇で)ミュージカルになってもいて、タイトルやヒロインの名前はとっても有名だが、私は今回はじめて見た。あらすじもほとんど知らなかった。

幼い頃に、スカーレット・オハラと聞いて、小原庄助さんのオハラと同じなのかな(つまり、ヒロインは日本人とのあいのこかな)、みたいに思ったことがあった。が、もちろん、ちがうね(笑)。


スカーレット・オハラって、舞台を見る限りでは、必ずしも多くの共感を呼ぶような女性ではない。美しくて進歩的な奔放さは魅力なのかも知れないけれど、なんというか、わがままで自業自得っぽいヒロインだ。ずっと想い続けている意中の男がいながら、それが適わなくて、別の男と結婚する。それも3度も。その結婚も、メラニーへの対抗心からだったり、経済的な打算からの略奪婚だったりするし、レット・バトラーとの破局も、結局はスカーレットがアシュレイへの想いに捉われ続けていたからだし。
ヒロインとしては2番手のメラニーがあくまでいいひとなので、対照が著しい。

ヒロインの魅力よりも2番手のいいひと度が上回っているというのは、けっこうありがちな構図ともいえるのかな。主役の女性が華やかだが非倫理的だったり気が強くて奔放なのに対して、2番手ヒロインが常識の範疇にいるいわゆるいいひと、というのは、ミュージカルでいえば、たとえば「アンナ・カレーニナ」がそうだろうし、歌舞伎だったら「籠釣瓶花街酔醒」もそうだから(「籠釣瓶」の花魁・八ツ橋は、佐野の大尽と間夫とを天秤にかけて佐野次郎左を袖にする嫌ァな女だが、2番手ヒロインにあたる九重は、対照的に心持ちのやさしい花魁である)。

気立てがよくてきれいなら、それが何よりだとも思うが、どういう訳か、華やかで権高でわがままなほうが主役になって、しかもモテモテだったりするのだ。


幕が開いて間もなく。スカーレットのために椅子を用意したり、お菓子を持って来たりするのに、全く相手にされない寺元健一郎青年が、おもしろかったな。

田島ゆみかちゃんが、いい役(プリシー)を演っている。プログラムのキャスト紹介は、1/2ページで掲載されている出演者のなかではトップだし、カーテンコールもマミー(池谷のぶえ)とふたりで、登場順もいい位置。カーテンコールでは、プリシーが呼ぶと、子役(ボニー)が下手から出て来る。


普段の帝劇とは、客層がかなりちがう感じがした。開場100周年記念演目の初日ということもあったのかも知れないが、いつものミュージカル公演のときとちがうだけでなく、少し前の森光子公演や浜木綿子公演の客席ともちがっていて、私はちょっと違和感があった。

隣のおじさんは大股広げて座席に寝そべるように座っていて、寝るつもりなのかと思ったら、しっかり双眼鏡持ってるし。それより、ひじ掛けを越えてひじをこっちに突き出さないで欲しいな。通路側の席を取っていたから、接触はまぬがれたけど…(最近、こういう目に遭った記憶がなかったのに。いったいだれのファンなのだろう…。たまにむくっと身体を起こすし、呼吸が荒くて、ときどきひとりごともいってたし)。


終演後は、読売新聞の号外が配られた。昨秋の「モーツァルト!」の初日では、号外を入手するための大混乱に巻き込まれたが、今回は、すこぶる平穏にもらって帰れた。客層もちがうし、いや、さっさと出たのがよかったか。

余談だが、第一幕観劇中、主演女優の名前(名字)が思い出せなくて、もどかしかった。広末涼子篠原涼子博多座で主役をやるのは国仲涼子。と、このあたりはパッと出て来たのに、「米倉」はとうとう休憩時間まで思い出せなかった。


上演記録を見てみると、かつては、レット・バトラー役を高橋幸治が演ってるのだね。へぇ〜、とか思っちゃった。