プラザミュージカル「砂漠から還ってきた将軍」(プラザウエスト さくらホール)


8月29日(日)に、プラザウエスト さくらホールで、下記のミュージカルを見た。


プラザウエスト開館5周年記念
プラザミュージカル「砂漠から還ってきた将軍」
宮沢賢治作「北守将軍と三人兄弟の医者」より〜

演出・脚本:伊藤大(劇団青年座)、音楽:和田啓(オフィスティルタ)、振付:白沢靖子(劇団キンダースペース)、歌唱指導:松本泰子(オフィスティルタ)、演出助手:奥山智恵野((株)仕事)


プラザウエストは、さいたま市(旧浦和市)西部にあるコミュニティ施設で、同じ建物に、桜区役所や図書館、ギャラリーなどが同居している。隣には体育館がある。

そのプラザウエストの開館5周年記念事業のひとつとして、公募で集まった小学3年生〜中学3年生の子どもたちが出演するオリジナルミュージカルが、4月から30回の稽古を経て、この日上演された。
プラザミュージカル「砂漠から還ってきた将軍」である。

チラシには、出演者として35名の名前が掲載されていたが、当日の出演は、32名になっていた。

自由席で、入場料は、1000円。


このミュージカル、直前まで見に行こうかどうしようか迷っていたが、前日(8/28)に予定していた横浜みなとみらいでの小林愛実ピアノ・リサイタルに行けなくなったので、その気分直しも兼ねて、出かけた次第である。

会場のプラザウエストまで、往きは、南与野の駅からタクシーに乗り、タクシー代は、1250円だった。


開演は、午後2時。

上演時間は、約1時間。


さくらホールは、プラザウエストの2階にあって、客席数は、402とのことだが、
http://www.saitama-culture.jp/plazawst/sakurahall.html

今回の公演では、A列とB列は取り払い、その部分が丸く張り出し舞台になっていて、
(座席表→http://www.saitama-culture.jp/pdf/plazawst_hall.pdf)
まさに目の前で子どもたちが演技をするので、なかなかの臨場感である。


原作(北守将軍と三人兄弟の医者)は、長い作品ではないし、青空文庫でもすぐに読めるので、
 →http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1944_12218.html
あらすじを書く必要はないだろう。

私は原作を知らなかったが、観劇後に読んでみたところ、プラザミュージカル「砂漠から還ってきた将軍」は、原作を忠実に劇化していて、原作からそのまま用いていた歌詞やセリフも多かったと思う。

展開はその原作をなぞるようでもあるのだが、「北守将軍と三人兄弟の医者」という作品を知らなかった私は、このお話はどうなるのだろう、という純粋な興味も手伝って、舞台の進行に惹きつけられた。そのせいか、観劇後は、一冊の本を読み終えたような後味、というか余韻。派手な演出などはないが、気持ちのいい舞台だった。

キャストの子どもたちは、バレエを習ってそうな子はいるものの、見たところほとんどが普通のお子さんたちだと思うが(なかにはシノザキスタジオの公演や赤坂少女歌劇団のメンバーとして記憶にある名前もあったが、近年はそちら方面に全く疎いので、不詳)、真面目に舞台に取り組んでいる姿勢がうかがえて、それが何より好印象。キャストの子どもたちがひとりずつ、あるいはふたりペアで前へ出て短いフレーズをうたったり、セリフをいったりする、演劇(ミュージカル)の体験発表っぽい演出もあったが、それも含めて、私は楽しめた。

キャストのうち、多くの子が複数の役を演じていたのが、ミュージカルらしくて、いい。

ダンスでは、とくに、町の人役の女の子6人が踊るシーンは、かわいかった(あとから、大きい女の子が真ん中に入って7人のダンスになるのだけれど)。
北守将軍ソンバーユーが乗っている「馬」を黙々と動かす馬丁役の男の子も印象的(カーテンコールでは、その男の子が馬に乗り、将軍役の女の子が馬を押しての登場)。


こういう事業では、関係のお偉いさんあたりが出て来て、ひとこと挨拶したりしそうなものだが、そんな余計なことは何ひとつなく、カーテンコールも子どもたちだけで、演出家をはじめとするスタッフも舞台には出なかった。いい仕事をして、でしゃばらない大人というのも、すばらしい。


観劇後は、外に出てもタクシーはいなくて、さて、どうやって帰ろうか。通りに出て、流しているタクシーを拾わないとダメかな、と思っていたら、バスが来た。浦和駅西口行きだ!なんというタイミングのよさ。

ということで、浦和駅までこのバスに乗って、運賃は、240円なり。