BLACKBIRD ブラックバード(シアター・ドラマシティ)


9月5日(土)に、シアター・ドラマシティで

「BLACKBIRD ブラックバード

(デビッド・ハロワー 作、小田島恒志 翻訳、栗山民也 演出)

を、(ようやく)見た。

チケット代と交通費で、約5万円。これでもし、黒沢ともよちゃんを外してしまったらどうしよう(ダブルキャストらしいので)、という不安もあった大阪行だが・・・やった! まだツキがあった。


この日は、2回公演で、昼が1時開演、夜が5時30分開演。上演時間、2時間弱。休憩なし。

公演プログラムは、1500円(東京、富山、名古屋、北九州、大阪公演とも共通のようである)。

プログラムに載っているキャストは、

レイ: 内野聖陽
ウーナ: 伊藤歩

のふたりだけ。他に、声の出演(八十川真由野)のクレジットはあるが、「少女」役は、ない。この舞台は、ふたり芝居という前提で、終盤に3人目のキャストが登場することを観客が前もって知ることがないように、プログラムにさえ載せないという仕掛けが施してあるという訳だ。

少女役の子の名前や写真、プロフィールは、終演後に、劇場エントランス付近に掲げてあったので、その回に出演した子役がだれなのかは、事後公表される仕組みである。


翻訳戯曲で予習して臨んだ観劇だったせいで、昼公演を見たときは、自分が頭のなかにえがいていたイメージと、今回公演のじっさいのセットや演出等とのズレに多少の違和感が生じた。たとえば、私は、もう少し狭い部屋を想像していた。

舞台を見てみると、戯曲で読むほどにはショッキングに聴こえなかったり、途中で、退屈と感じる箇所もある。とはいえ、少女が現れる場面は、トップクラスの子役がリアルな存在感をもって演じるだけに、私が抱いていた脆弱なイメージを遥かに超えるインパクトがあり、また、少女の髪形が、ウーナの髪形と同じだったのには、観客としての想像力を刺激された。

それにしても、タインマウスの件りの、ウーナの長ゼリフは、本当に長い。汗ぐっしょりで身体にはりついていたレイのワイシャツが、ここのウーナの長ゼリフの間に(彼はこの間ずっと客席へ背を向けている)、およそ乾いてしまうのだから。


カーテンコールは、内野、伊藤が出て、あとから黒沢ともよ(は、ふたりより先に引っ込む)。下記のような立ち位置。


黒沢ともよ

          伊藤歩  内野聖陽

                                                                                      • -


              (客席)


再登場は、内野、伊藤のふたりだけで、子役は出ず。


黒沢ともよちゃんの黒目がちの眼は健在で、昨夏の「まほろば」といい、今夏のこの作品といい、衝撃的な役柄、また結末を深く印象づけていた。


翻訳の戯曲では、いまいっしょに暮らしている女性について問われたレイが、「オレよりひとつ年上だ」と応えて、ウーナが「じゃあもう六十」「六十ってことはない」「あなたはもうすぐ六十じゃない」となるのだが、舞台では、ここでの「六十」のやり取りはカットされていて、今回の舞台では、レイの年齢が原戯曲の設定よりも若く見えてもいいようにしたのかな、と思ったのだが、戯曲を再確認すると、しばらくあとのレイのセリフ「オレは六十で死ぬ」に続けて「あと四年」というのがある。このセリフは、舞台ではどうだっただろうか?

レイが、60まであと4年なら、ひとつ年上の女性は57歳になる。このセリフに嘘がないとしたら、12歳の少女の母親は、45歳で出産したことになり、これはまた微妙な年齢で、深読みしたくなるからややこしい。