NBAバレエ団「くるみ割り人形」(板橋区立文化会館 大ホール)
9月14日(日)は、板橋区立文化会館大ホールで、
NBAバレエ団「くるみ割り人形」全幕 (演出・振付:安達哲治)
を見た。
主催は、板橋区文化・国際交流財団。
午後3時開演。上演時間は、休憩15分を含めて2時間、と表示されていたが、終演は5時10分頃だった。
会場の板橋区立文化会館 大ホールに入ったのは、かつて、1994年に、演劇集団らぶばーどの手話入りミュージカル「あっ子の日記」を見に来て以来だから、14年ぶりか。なかは当時のままなのか、改装等があったか否かは知らないが、場所はそのままだ。14日は地元の祭りがあったようで、大山駅から文化会館へと到る商店街には神輿が出ていた。
あらすじと配役、スタッフが印刷された4つ折りのプログラムが、入場時に配布された。
オーケストラピット使用で、1階席の最前列は、6列。
舞台にカーテンはなく、緞帳での上演。
指揮: 榊原徹
演奏: 東京劇場管弦楽団
合唱: 板橋区立高島第二小学校
プログラムの「ごあいさつ」(NBAバレエ団芸術総監督 安達哲治)によれば、金平糖の精のエフゲーニャ・オブラスツォーワはマリインスキー劇場の名華、王子のヤロスラフ・サレンコはNBAバレエ団の至宝、とのことである。
クララが米津舞、ドロッセルマイヤーがワレリー・グーゼフ。
ドロッセルマイヤーは眼帯をしている(が、老けた扮装はしていない)。
米津舞さんのクララは、客席から見た感じ、15、6歳にしか見えない柄で、これなら少女クララとして文句なしである。米津舞さんの名前はコンクールに入賞の経歴があるので記憶していたが、さて、実年齢はいくつになるのだろう?
じっさいの中・高校生のダンサーが扮するよりも少女らしいクララかも知れない。
子役の出演は、板橋区洋舞連盟の協力で、第1幕のねずみに、なつみ&ユキバレエスタジオから子ねずみが18人、兵隊に、長瀬クラシックバレエスクールから18人。第2幕のキャンディ・ボンボンに、内藤瑠美バレエスタジオから16人。
ねずみよりも兵隊のほうが大きい子たちで、兵隊の女の子たちは揃ってポワントで。
シュタルバーム市長の家のパーティでは、ドロッセルマイヤーが連れて来る人形は、ピエロ、ハレーキン、コロンビーヌの3体。観音開きの大きな箱にドロッセルマイヤーが人形を入れると、それぞれ、その人形が大きくなって登場し、人形振りで踊るという運び。この3人(3体)は、雪の国、お菓子の国、もとの客間と、クララを先導するように帯同する。
ドロッセルマイヤーは、最初、別の女の子にくるみ割り人形をプレゼントとして渡してしまうが、その女の子は気に入らず、ちがう人形に取り替えてもらう。クララはもらった人形が気に入らず、くるみ割り人形が気になっていたので、その女の子から返されたくるみ割り人形をもらって喜ぶ、という演出があって「クララとくるみ割り人形」の踊りになる。
客間は、カッコー時計が上手側にあり、下手側には暖炉という配置。時計は下手にあることが多いので、あまり見ない配置だと思った。
クリスマスツリーは、やや安っぽいというか簡易なつくりで、大きくなっても見映えがよくない。
クララが持っていたくるみ割り人形が吊り上げられて消えると、替わりに大きくなったくるみ割り人形(NBAバレエ団の至宝のひと)が現れ、ねずみの王様と戦う。クララがスリッパを投げて気を逸らした隙にくるみ割り人形がねずみの王様を倒すのはお約束通りだが、くるみ割り人形は相討ちになって倒れたりはせずに、クララの加勢のおかげで完全勝利!
ドロッセルマイヤーやハレーキンがマスクと衣裳を取り去ると、王子に変身、という趣向。
そのあと、クララと王子のパ・ド・ドゥ〜雪の女王、雪の王の登場、粉雪では下手側の脇花道に高島第二小学校の児童が2列に並んでの合唱が加わる(お揃いのブルーのベレー帽をかぶっていた)。
雪のシーンでは、ピエロ、ハレーキン、コロンビーヌが雪を投げ合って遊んだりするのが、面白い。
第2幕、お菓子の国に着いてからのクララは、王子が金平糖の精にクララに助勢してもらったことを話すところでマイムがあったあとは、下手の椅子に腰かけて各国の踊りを見て、拍手をしたり、お辞儀をしたりするくらい。
ディヴェルティスマンでは、アラビアの踊りのテンポがずい分と遅くしてあって、あまりにゆっくり過ぎて耐え難かった。
子役が踊るキャンディ・ボンボンは、ギゴーニュおばさんと子どもたちでの演出なので、クララの出番はなし。おばさんのスカートから次々出て来る訳だが、じっさいはスカートのなかからではなく、後ろからぞろぞろ出ていた。キャンディ・ボンボンの最後は、子どもたちが全員引っ込んだかと思ったら、ひとり残って寝ている子がいて、それを別の子が迎えに戻って来て、起こしていっしょに退場というおまけが付いていた。
終幕は、クララの幕前では終わらずに、お菓子の国から戻って眠ったクララをピエロが抱き上げて、客間の椅子に寝かせると、クララが目醒め、そこへ娘を探しに現れた母親が、クララにショールを掛けてやり、ふたり上手奥へ退場するところへ緞帳が下りる。
(このとき、カッコー時計の針が何時を指していたか確認するのを忘れてしまったが…)音楽も通常の終幕のワルツ〜大詰めでは終わらず、第1幕の曲のリプライズが付くことから、全ては、パーティのあと客間で寝てしまったクララが短い時間に見た夢だった、ということを強調した結末なのだろう。
ところで私は、至宝さんより、「花のワルツ」の男性ソリスト、秋元康臣さんがよかったな。
なお、NBAバレエ団による年末の「くるみ割り人形」は12月20日、21日に、なかのZEROホールで予定されている。