二月大歌舞伎 夜の部

2月16日(金)に、歌舞伎座で、二月大歌舞伎の夜の部を観劇。

二月大歌舞伎は、昼・夜で、通し狂言仮名手本忠臣蔵」。

筋書きが、1200円。


夜の部は、五段目(山崎街道鉄砲渡しの場、同二つ玉の場)、六段目(与市兵衛内勘平切腹の場)、七段目(祗園一力茶屋の場)、十一段目(高家表門討入りの場、同奥庭泉水の場、同炭部屋本懐の場)。

二月の歌舞伎座は、昼・夜とも子役の出演は、なし(御曹司のみ)。


開演前には、舞台写真を眺めていたが、今月は買わなかった(児太郎さんの力弥をひとつ買おうかと迷ったが、個人的には、もっと別の場面のものがよかったな)。


さて、夜の部は、4時半開演。

五段目は、木に衝突するイノシシが、いかにも猪突猛進な様子で、亥年らしく。
六段目の早野勘平(菊五郎)が義母のおかや(吉之丞)から責められるの図も、腹切ってからの件りも、私の好みからは遠いにもかかわらず、(五、六段目合わせて)2時間弱の時間を長く感じることなく、面白く見られたのは、この勘平ゆえだろう。

30分の幕間があって、七段目。
堪能した五、六段目とは一転、「一力茶屋」は退屈した。
奴さんだよ、ねいねいねい、の寺岡平右衛門(仁左衛門)と、その妹で遊女になっているお軽(玉三郎)の邂逅からのふたりのシーンが冗長。与市兵衛(権一)も勘平も死んだのだと、さっさといってやればいいものを、告げるまでが長い上に、いってから後もまた長い。

「一力茶屋」の最後で、大星由良之助(吉右衛門)が、縁の下に潜んでいた斧九太夫(芦燕)を引きずり出してとっちめる訳だが、ここの九太夫は貌を隠していての吹き替え。ここで、九太夫が吹き替えになるのは、この芝居では慣例なのかしら?・・・見ている側からすると、はっきり吹き替えでは打擲したとてすっきりせず、溜飲が下がらない(なんだか、幹部俳優がお弟子を折檻しているみたいに思えてしまう)。


十一段目は「討ち入り」。
大星力弥(児太郎)は、柄もセリフもまだ子役のそれだったが、だからこその存在感があって、多少のぎこちなさ加減も、芝居の味付けになっていて面白く、七段目よりも、こちらの力弥に惹かれる。

「奥庭泉水の場」は、小林平八郎(歌昇)と竹森喜多八(松江)の激しい立ち回りが見せ場といい、筋書きにも「リアル」「実録風」とあったから、時代劇の殺陣に近いものが見られるのかと思ったら、さにあらず。
リアルというにはほど遠く、笑いを誘うような滑稽なシーンまで付いて、緊迫感に欠ける中途半端さ。もっとスマートに見せて欲しかった(が、それは無理な注文か)。
とはいいつつも、七段目がしんどかった分、肩が凝らずにめでたく本懐。


ロビー表示の時間割では、午後9時ちょうどの終演予定とあったが、この日は、1、2分早く、9時前に終わった。