フェアリーバレエ「くるみ割り人形」(メルパルクホール)

16日(土)は、浜松町のメルパルクホールへ、
Fairy Ballet「くるみ割り人形」を見に出かけた。

18時開演。終演は、20時28分頃だった。途中休憩あり。(なお、ロビー掲示の時間割では、上演時間は、2時間20分になっていた)

公演プログラム、800円。

そのプログラムによると、12月16日は、
くるみ割り人形: 大門千夜
クララ: 小泉穂乃香
フリッツ: 藤並咲希



フェアリーバレエ版の「くるみ割り人形」は、くるみ割り人形を女の子が演じて冒頭から登場し、ドロッセルマイヤーとともに狂言回しの役を務め、舞台を進行させて行くところに特長がある。

この、少女が扮するくるみ割り人形が傑作で、カシャカシャ動いてかわいく、愛嬌があって、舞台の魅力がくるみ割り人形の存在に凝縮されているといっていい。
演じている子も上手かった。

ねずみと兵隊人形が戦うシーンの振付が面白く、とくに、くるみ割り人形とそれに従う兵隊人形たちの振りは、見ていて、わくわくした。ちなみに、クララは、(スリッパではなく)靴を投げていた。

子どもたちが踊るシーンが発表会っぽくなることは否めないのだけれど、子どもをたくさん出しながら躍らせない公演よりははるかに気が利いている。「くるみ割り人形」は、(とくに第二幕は)踊りそのものを見せることが主眼になるのだが、そこでも、観客を飽きさせない工夫がうかがえ、視覚的な楽しさがあった。
バレエに馴染みの薄い観客に、好評をもって迎えられていいステージだと思った。

ただ、一幕での客席通路を使う演出は、かえってテンポを削ぐ気がして余計に思えたが、どうだろう。

スケジュールが合えば、来年も見てみたい。

前方の座席をつぶして、張り出し舞台を設置して、5列が客席の最前列になっていた。演奏は、録音。




ここからは全くの余談だが。
歌舞伎における「義経千本桜」とバレエにおける「くるみ割り人形」は、ある意味でよく似ていると思う。どちらも、それぞれのジャンルを代表する有名な演目だが、初心者の観客の期待を見事に裏切ることでも共通している。
歌舞伎をはじめて見る観客が、源義経の英雄譚だと思って「義経千本桜」に臨むと、狐や、すし屋の話で、なんだかさっぱり分からずにうんざりし、歌舞伎を見に来たのはとんでもないまちがいだったと悔やむことになったり、バレエ公演ははじめての観客が、少女クララが主役だとの先入観で「くるみ割り人形」に足を運び、さあ、どんなかわいい女の子が見られるだろうと思っていると、クララ役のダンサーが大人だったとか、子どもが演じていてもクララはほんの端役で、せいぜいがスリッパを投げるくらいで、雪の女王だの金平糖や王子の踊りに退屈してしてしまい、もうバレエは見なくていいや、という結論に達するのは、めずらしいことではないだろう。

と、帰路の電車のなかで、そんなことを考えた。