雪の女王 A Heartfelt Story〜あなたに伝えたい〜 (あうるすぽっと) 


劇団ひまわり・ブルーシャトル プロデュース

雪の女王
A Heartfelt Story〜あなたに伝えたい〜

原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
脚本:砂岡誠
脚色・演出・照明:大塚雅史
音楽:的場英也
振付:柿谷結衣
殺陣:ドヰタイジ

あうるすぽっとで、「ひまわりA」のステージを3回見た。

9月21日(月・祝)は、初日で、午後1時開演。
9月22日(火・休)は、午後5時開演。
9月26日(土)は、午後5時開演。

 承前(→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20150926)


上演時間は、事前告知(休憩を含めて、2時間15分)よりも10分ぐらい長かった。

公演プログラムが、1500円(で、これは大阪公演と共通のプログラムなので、大阪キャストも載っている。大阪では、北村沙羅ちゃんと瀬尾美優ちゃんの写真を売ったりもするの?)。

物販の、カレンとアンナの写真セット(450円)の、カレンの写真は、舞台と同じに、ケープ(っていうのかな。ポンチョ?)がある衣裳にしてくれたらよかったのにな…。


原作はアンデルセンの「雪の女王」だが、より冒険ファンタジーっぽくアレンジして、人物配置やストーリーをふくらませてある。舞台は、無駄なくスピーディーに展開する。

傘を使ったステージジングが、斬新だ。傘が「雪」や「氷」を表現するだけでなく、「鏡」にもなり、ライトを灯して「火」にもなる。傘を得物(武器)にしての立ち回りもあれば、出入りするキャストを隠す幕の代わりもするし、ときには扉や入口になったりもする。
そして、それらを効果的に見せ、また陰影にも富む照明が印象的。

5人の勇者たちの「影」にしても、アンナの「分身」にしても、見た目は似せていないのにそっくりという設定で見せ切ってしまう演出も、なかなかおもしろい。


ヒロインを演じる小林柚葉ちゃんは、演技もうたもダンスも、どれをとっても申し分なく上手いことに加えて、カレンという役柄にぴったりハマっていて、本当にすばらしかった。その挙措、立ち居など、舞台での姿はまるでお手本のように美しくて、全てのシーンのカレンが芸術的だった。
役と演者とが、もっともふさわしいタイミングで幸福な出会いをしなければ、これだけのものにはならないと思った。

清水詩音ちゃんのアンナも、すばらしくハイレベルなので、小林柚葉ちゃんとの姉妹役は、無敵のコンビって感じ。アンナもカレンも実質的な主役だから、出番の全てが見どころになって、ふたりの共演シーンは、どこをとっても奇跡のよう。

清水詩音ちゃんのダンスはキレがあって、ミュージカル座に出演したときも上手いなぁとは思っていたが、今回は役が大きい分、さらに見ごたえもたっぷりで、なかでも、悪い子になったアンナと「分身」たちのダンスシーンなんて、何度見てもすごい(あの場面は、傘を持ったアンナがやたらとかわいいのだよね)。

「私たちの町」と「フェアリーワンダーランド」のうたとダンスは、楽しさいっぱい。ここでも、カレンとアンナのダンスは、じつに秀逸だし、かわいさ満点。

カレンとアンナの衣裳のスカートは、裾のラインが斜めになっていて、そのラインはふたりで逆の斜めになっている。
カーテンコールを含めて、舞台で並んだときのふたりの立ち位置は、アンナが上手側でカレンが下手側が基本なのだが、第二幕の最初のシーンだけ、ふたり並びのポジションが逆になっていた。


フランツ(小宮明日翔)は、カレンの幼なじみで、アンナを探す旅に同行する。カレンを挟んでの、勇者・クリス(松田岳)、フランツの三角関係は、ほどよいさじ加減なので、ほんのりとおもしろい。

少年・カイ(小西瑛惺)は、クリスの弟で、アンナとともに雪の女王に捕らわれているが、終盤には雪の女王(日向薫)を倒すのにひと役買うおいしいポジション。この小西くんていう男の子は、あんなにセリフが不明瞭で、舞台での動きも板についていない感じなのに、華があって、ただ者でないインパクトがある。

幼少のカレン(鶴野華苗)とアンナ(宮崎友海)は、カレンより妹のアンナのほうが少し大っきかった。


26日夜のステージで、フランツが、サラマンダー(が手当てをしてくれた)っていったのは、あれは、アドリブ?それともまちがえたの? 客席の一部では、ずい分ウケていたようだったけど。