劇団14歳 第1限目「教室短編集」


6月19日(火)〜7月1日(日)に、シアターグリーン BASE THEATERで上演された

劇団14歳
第1限目「教室短編集」

から、トータルで4ステージを観劇した。


23人のメンバーが4つの演目(ダイヤ、スペード、クローバー、ハートの4チーム)に分かれ、教室を舞台にしたオムニバス作品を上演したもので、脚本は4作品とも坪田文(脚本協力:有賀ひかる 島村めぐ美)。


演目は(括弧内は役名)・・・

ダイヤ/「山に登る」 演出:佐々木充郭(バジリコⒻバジオ)
出演: 城川もね(樫山まるみ)、丸山春香(向山ルミ)、今井佑希乃(赤坂春乃)、今久保汐音(笹山加奈子)、高橋優里花(石山真理)、金子海音(富山響子)

スペード/「リボン」 演出:谷賢一(DULL-COLORED POP)、演出助手:池内風
出演: 吉田愛美(東堂凜花)、真嶋優(沢海結)、田中茉莉香(早見陽菜)、山田果琳(駿河愛姫)、内山由己(物部美咲)

クローバー/「チェリーボンボン!」 演出:三浦直之(ロロ主宰)、振付:島田桃子
出演: 白石光(山田桜)、木下留里(小金井百合)、秋元伊織(大郷美羽)、山本麻鈴(岩熊ももよ)、花上愛美(相場真紀)、諸江雪乃(佐々木恵理子)

ハート/「春の日」 演出:中村暢明(JACROW代表)
出演: 長江香織(守山ちはる)、飯田杏実(今井理央)、岡田紗由巳(栗原市子)、浅石莉奈(三好絵美)、水谷彩咲(堀田波子)、冨山紫苑(荒川希)


公演期間中に、「ダイヤ&スペード」が10ステージ、「クローバー&ハート」が10ステージ上演された他に、全チームのメンバーが出演する「H.R」(トークショー)が1ステージ行なわれた。

会場掲示の上演時間は、「ダイヤ&スペード」が1時間15分。「クローバー&ハート」が1時間30分。ただし、私が観劇した日は、前者はそれより数分短く、後者は8分ぐらい長くかかっていたので、両者の上演時間は、実質で、25分程の差があったことになる。
どちらも途中休憩はなく、それぞれ、「山に登る→リボン」「チェリーボンボン→春の日」の順に、2演目が続けて上演された。

また、「H.R」は、予定では1時間10分となっていたが、12時開演で、終演は13時30分だった。


この公演、もともと、客席の前方は、1列10席の配置だったようだが(土曜日の観劇時はそうだった)、平日公演はチケットの売れ行きがよくなかったためか、1列8席の座席配置にしてあった。そのため、前売りでA列9番のチケットを持っていた某日は、9番の座席は存在せず、入場の際に、受付で同じ列の別の座席へ振り替えになった。ということで、2回見た平日公演は、お客さんは少なかったが、隣の座席との間には余裕があった。


この「教室短編集」は、どの4演目とも、制服姿がリアルでかわいくて、そこが、とてもよかった。「演劇」として見応えは「ダイヤ&スペード」のほうにあったけれど、もう一回見たくなったのは「クローバー&ハート」だったので、結局、そうした。


「リボン」は、5人の女の子の人間関係を切り取ったもので、芝居としては、4作品中で、これがいちばんよく出来ていた。思春期の女の子同士の恋愛感情や、もともとは5人グループだったのが、いまは彼女たちのグループを離れている子をめぐるわだかまりなど、短い時間のなかで、それぞれの想いや齟齬といった、グループ内の相関図が表出するといった作品。

子役時代に商業演劇でキャリアのあるキャスト3人の競演も興味深かった。(吉田愛美さんが両ひざに絆創膏を貼っていたが、あれは役づくりってことではないよね?)


「山に登る」は、主役の城川もねさんに求心力があるのが、いい。共演のメンバーにも個性が感じられ、ベタな結末だが好もしく見られた。学校行事というのは、事前のかったるさや、気おくれしたり面倒な気持ちと、いざはじまってみるとけっこう楽しいという、その時期特有の気分があったことを思い出させてくれた。


「春の日」は、クラスメイトの死に揺れる6人の女の子の心情を、つづったもの。最初、出演者それぞれが黒板に、自分の役名と名前を書いてはじまる。
4月12日、7月18日、10月26日、3月14日の4つの場からなり、1年近い月日の経過のなかで、級友の自死という現実をそれぞれに受け容れて行く様子が、えがかれる。季節が変わるのにともなって、制服が衣替えするのは、見どころのひとつ。

徐々に、亡くなった女の子(舞台には登場しない)の、自殺の原因が明らかになるのかと思って見ていたのだけれど、そういう方向には展開せず、ひとりの級友の不在を抱えたままの学校生活という日常の断片が、淡々としたトーンでスケッチされる。そこがリアルだとも感じたし、同時に、物足りなさでもあった。


「チェリーボンボン!」は、中学生の女の子たちが、文化祭に出るために、アイドルグループをつくろう、という話。女の子たちの人物設定が類型的だし、演技にたどたどしさを感じる部分もあったが、コミカルで、他の3作品とは別種のおもしろさがあった。最後に出演者の自己紹介が付いて、お披露目っぽい趣向に仕立てたことで、出演者それぞれの素材としての魅力を印象付けるつくりになっていた。




キャストのなかでは、冨山紫苑さんと、諸江雪乃さんが、かわいかったな(諸江雪乃さんのメガネっ娘ぶりとか)。

そういえば、諸江雪乃さんは、「時々迷々」の坪田文脚本『友達ランキング』に出演していたのだよね。


1ステージだけ行われた「H.R」は、全チーム出演のトークショー。舞台前方から、「春の日」チーム、「山に登る」チーム、「チェリーボンボン」チーム、「リボン」チーム(吉田さんは欠席だったが事前にホームページで発表されていたから急なことではなかったみたい)の、4列の並び。舞台下手端に机を置いて、先生(司会進行)役は、脚本の坪田文さん。女の子たちは、それぞれの演目の衣裳である制服姿。

じつは、この「H.R」が、いちばんおもしろかった。

つぼふみさんが、トークショーの進行はもちろん、ティーンの女の子の扱い(演技やセリフについてのアドバイスも含めて)が上手いのには、びっくり。見ていて、感心しきり。なるほど、これなら、アップフロントエージェンシーにも見込まれる訳だ、とか納得しちゃった。


公演プログラムは、1000円。

チラシは、4種類あったのだね。私の手もとには、2種類しかない。(もう2種類、取って来ればよかったかと、あとになって思った)

で、劇団14歳って、第2限目はあるのかなぁ…