寿曽我対面(平成中村座試演会)


1月11日(水)は、「平成中村座試演会」を観劇。

午後4時開演で、上演予定時間は、

「寿曽我対面」、50分。幕間、15分。「おたのしみ座談会」、30分。

だったが、終演後、劇場の外に出たら6時になっていたので、じっさいは「おたのしみ座談会」が20分ぐらい長かったことになる。(「対面」の出演者15人それぞれからのあいさつの時間が、ほぼそれくらいだったことになるか)

座席環境がいいとはいえない、この隅田公園内 仮設劇場では、約2時間の上演時間は、お手頃。3月〜5月も、試演会を見に行くのがよかろうと存ずる。


「寿曽我対面」は、名題名題下の、お弟子さんたちのみの出演。今月の試演会は、衣裳やかつら、化粧はなしでの上演。いわゆる袴歌舞伎といっていいのだろうか。

この「対面」が、じつに面白かった。1000円でこれが見られれば、まさにお得。

歌舞伎の様式や、儀式性が特徴とされる演目なのに、芝居としての面白さが感じられたのは、総じて出演者のセリフのひとつひとつが聴きやすかったことや、扮装なしでの上演ならではでもあろう。

普段の歌舞伎公演では、衣裳や化粧に気をとられて見ていなかったものに気づいたり、役者の身体の使い方、目の配り、立ち居といったものに目が吸い寄せられる。なかでも、女形ふたり(大磯の虎=梅之、化粧坂少将=蝶紫)の挙措は印象的。

曽我五郎時致(彌紋)の若さと勢いが気持ちよかった。(12月と今月と、続けて平成中村座試演会を見た結果、坂東彌十郎門下の役者さん3人を憶えたので、次回からは、どこに出ているか、すぐに分かりそう)。


「寿曽我対面」といえば、歌舞伎のおなじみ演目のなかでは退屈することが多く、好んで見たいとは思わないもののひとつ。見取りで最初に出る演目なので、昼の部のときには、「対面」は見ずに次の芝居に間に合うように出かけるとちょうどよかったりもするのだが、今回のような試演会や、子ども歌舞伎などで見ると、本来の歌舞伎公演とは別段の面白さに出会えるという、そんな演目でもあるのだと認識した次第。