若手舞踊公演SUGATA「二人三番叟」/通し狂言「雙生隅田川」(KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ)


KAAT 次世代への古典芸能プロジェクト
若手舞踊公演「SUGATA」

「二人三番叟」/通し狂言「雙生隅田川

作・演出・振付:藤間勘十郎

KAATの主催で、10代の若手歌舞伎俳優ふたり(中村鷹之資、中村玉太郎)をメインに据えての、藤間宗家作・演出「SUGATA」も、4年目の今回で最後になるとのこと。

一昨年、昨年は、「西遊記」をベースにした新作とその続編を見たが、今年は、「二人三番叟」と「雙生隅田川」で、より歌舞伎らしい演目が並んだ。


4日間の公演の最終日、3月27日(火)に観劇。

これまでと同じく大スタジオでの上演。

午後2時開演。掲出されていた上演時間は、「二人三番叟」15分、休憩15分、 通し狂言「雙生隅田川」120分。

ただし、この日は、4時42分ぐらいの終演だった。

チケットは、自由席4500円だが、チケットぴあのポイントによる招待券で。(ちなみに、過去2年ともぴあポイントでの観劇だった。支払いは発券手数料のみ) この舞台が108円で見られるのは、とにかく、お得!


素踊りでの上演。(「雙生隅田川」は、いわゆる袴歌舞伎ということになるのかな?) 素踊りで、宗家と種之助丈の女形を見られたのは、何よりの収穫。

最初に、幕前で、鷹之資丈の口上があって、すぐに「二人三番叟」。「雙生隅田川」の途中、転換時の幕前で、玉太郎丈の口上がある。

下手2階部分のバルコニーで、長唄、囃子の演奏。竹本の語りは、客席上手袖側で、今回も女義太夫


配役は、

「二人三番叟」

中村鷹之資(三番叟)
中村玉太郎(三番叟)


「雙生隅田川

中村鷹之資(吉田少将行房/奴軍介)
中村玉太郎(小布施主税)

中村種之助(惣太女房唐糸/鯉魚の精)

澤村國矢(勘解由兵衛景逸)
花柳凜(次郎坊天狗)

齋藤琴音(御台所)
梶栞奈(梅若丸)
亀上空花(松若丸)

尾上菊之丞(忍ぶの惣太実ハ粟津七郎/常陸大掾百連)

藤間勘十郎(班女御前)


※「雙生隅田川」は、少なくとももうひとり出演者がいた(忍ぶの惣太が売った稚児=梅若を返しに来る人買いの役)はずだが、配付されたプログラムでは、上記のごとし。


子役は、こども歌舞伎スクール寺子屋からの出演で、出演情報によれば、3名ともに寺子屋の一期生。

御台所役は、けっこう大きい子。(御台所って、そもそもは子役の役ではないよね。この「雙生隅田川」では、吉田少将には御台所(本妻)と側室の班女とがいる設定)

梅若、松若の子役は、歌舞伎の本興行でもおなじみの名前とあって、両人とも上手い。上手いだけでなく、とてもかわいかった。

本興行だと、化粧に鬘に衣裳と、役の拵えでの登場だが、この舞台では白塗りなどない素に近い顔で、しかも若君役を女の子が演じるので、双子揃って凛々しくもかわいい。髪は、梅若丸の梶栞奈さんのほうが長くて、背は、松若丸の亀上空花さんが少し高かった。
松若丸は、髪を結わいた位置が少し上だったので、ポニーテールな感じも。

梅若丸のセリフの上手さ、子役としての声のよさは、これ以上はないってくらいの素晴らしさ。梅若丸が惣太に折檻されて死んでしまう場面は、その演技に眼がくぎ付け。

大詰での松若丸は、立ち回りがあって、切口上にも座し、最後は敵を討ち取り絵面に極まっての幕切れまで舞台にいる。


ところで、今回の日程のうち、3月26日(月)は、演目の順番を入れ替えるとの告知もあったが、子役の出演時間との絡みで、だったのでしょうね。