「一本刀土俵入 お蔦のなさけ」を観劇


10月4日(木)は、北とぴあ さくらホールで、松竹の巡業 ピーターVS池畑慎之介「一本刀土俵入 お蔦のなさけ」/ピーターズレヴュー を観劇。

公演プログラム(1000円で販売)では、『Peter vs. 池畑慎之介』という公演名の表記もあるが、いずれにしても「ピーターバーサスいけはたしんのすけ」という巡演である。


8月24日のTHEATRE1010でスタートし、10月14日の名鉄ホールまでつづく巡演もすでに終盤で、10月上旬は関東の1都4県のホールで公演があり、そのなかから北とぴあの舞台を見た。

王子駅からすぐの北とぴあ さくらホールでの公演は昼・夜2回あって、見たのは、夜の部。

午後6時30分開演。

「一本刀土俵入 お蔦のなさけ」(長谷川伸 原作、金子良次 潤色・演出)が、6時30分〜8時10分(途中10分の幕間あり)。そのあと、30分の休憩。8時40分〜「ピーターズレヴュー」(ピーター 構成・演出、名倉加代子 振付)。
終演が、9時16分頃だった。


「一本刀土俵入」は著名な演目で、私も歌舞伎座で見たことがあるが、今回の「一本刀土俵入 お蔦のなさけ」は、長谷川伸の戯曲を原作として、お蔦(池畑)の視点からの潤色ということで、歌舞伎の舞台に較べれば大衆劇っぽいつくり。二幕五場は変わらないが、「利根の渡し」の場では、お蔦の朋輩の酌婦お松(英太郎)を登場させ、ふたりが別れるシーンを増やして女形の競演を見せ、幕を切る趣向。じっさい、この「利根の渡し」の場に登場がないと、英太郎のしどころが不足するだろう。また、二幕では幕前芝居で転換をつないでいた。

その分(という訳ではなかろうが)、角兵衛獅子は出て来ないので、子役の角兵衛獅子たちも登場しない。


子役は、お蔦と船印彫辰三郎(国広富之)の娘お君に、細川愛華・渡邊ひかる(名前は「渡邉ひかる」が正しいようだ)(交互出演)。母お蔦の故郷のうたをうたうところが見どころ。歌舞伎での上演より、お君のセリフは多かったと思う。この日の出演は、渡邉ひかるちゃんだったかな。髪は自毛で結っていて、きびきびと小気味よく動き、演じていた。

マイクは付けていなかったので、お君ちゃんのうたは、かなり大きな声でうたっていた。(前日は川口リリア、このあと横須賀芸術劇場など、三階以上あるホールでは、マイク使用の有無はどうだったのだろう?)


渡邉ひかるちゃんは、ひまわりの子ですね。今年の春にシアター代官山で上演されたミュージカル「星の王子さま」に出演している。(余談だが、ひまわりの「星の王子さま」のサイトは、公演終了後にけっこう更新されていた模様。→http://www.himawari.net/stage/petit/)

駒形茂兵衛(勝野洋)に、朴訥な味。船戸の弥八(新田純一)をはじめ、脇も揃っていていい舞台で、楽しめた。メインキャストだけでなく、(テレビ時代劇の脇役でおなじみの)うえだ峻の登場でも客席が沸いていたのが、客層を反映していた。


「ピーターズレヴュー」は、ピーターと、男性ダンサー4人(このうち綿引大介はお芝居と両方に出演)によるショー。演奏は録音。

座長さんは、芸歴39年で、55歳だそうな。最近では、主演舞台「越路吹雪物語」が公演を重ねており、次の上演も決まっている。ライフワークにしたい。「いたこ」になったつもりで越路吹雪を演じて行きたい、など語っていた。


「一本刀土俵入 お蔦のなさけ」の後、レビューまでに30分も時間が空くのは、どうにも手持ち無沙汰。座長さんのお着替え、化粧直しなどを考えれば仕方ないとは思いつつ、公共ホールの公演での休憩時間にはもうひと工夫が出来ないものか。

客入りは、1階席に6割強、2階席に少々といった感じ。夜の部ということと、前日に川口で2回公演があったことを考えれば、けっこう入っていたといえそう。ただ、良席とはいえ、8000円(SS席)はちょっと高い。他の公演地はもう少し廉価ですしね。