椙原品



安東能明「螺旋宮」(徳間書店、1900円+税)というホラー小説を読んだ。小説自体は余り面白くはなかったが、伊達騒動と「椙原品(すぎのはらしな)」という実在の人物をモチーフにしていた点は興味深かった。



椙原品は、二十一歳の若さで幕府から逼塞、隠居を命じられた伊達綱宗に側室として仕えた女性で、綱宗が藩主の座を解かれて以降の50年余をともに過ごしたとされる。



森鴎外の「椙原品」は、(綱宗の長子亀千代の母である)三沢初子、椙原品の出自や、伊達綱宗との関係を中心に、伊達騒動のおさらいをしたような作品で、歌舞伎の「伽羅先代萩」のもとにもなったお家騒動の概要を掴むには手頃だ。

著作権が切れていて、ネット上で簡単に読めることを、今般知った。