ココ・スマイル3 雑感。



博品館劇場で「ココ・スマイル3 〜虹色のメロディー〜」を観劇。

(8/20昼のMバージョンでワンステージだけ)



午後1時開演。タイムテーブルでは3時終演となっていたが、10分くらい長くやっていた。



プログラム、500円(ココスマ新聞付き)。



客入りは、満席ではなかったが、ほぼそれに近い盛況。





ひと言でいってしまえば、夏休みに課外活動の発表会、といった感じで、ミュージカル公演としては、物足りない舞台だった。



2年前の初演(あのとき見たのはKバージョン)と較べると、中心になる主要キャスト(ココ、ワカナ、あかね)3人のレベルが揃って低く、困惑した。



(その一昨年の初演を見たとき、あるキャストについて、もっと上手くてもいいのではないかと思ったのだが、いまにしてみれば、贅沢な不満だったことになりそうだ)



ココというのは、正体不明の狂言回しで、かつ舞台のテーマを象徴する役だから、舞台に出た瞬間に観客を引き込むオーラが必要で、ココという女の子の存在を理屈抜きで納得させる力技が不可欠だ。

子役だから力技というよりも、その子の持つ資質や、子役としての旬の輝き、あるいは、咲き誇る"時分の花" があってこそ演じられる役だろう。



今泉舞さんには、ココ役としてのそんなオーラがいまひとつで、ココが狂言回しとしてあまり機能しない(ココがいなくても、たとえば、まりもあたりが好奇心旺盛にあちこち動き回ることでストーリーを運ぶことも可能に思えてしまう)。



バレエスクールのメンバーにうたを教えるココが、あまりうたが上手くないのはご愛嬌だとしても、セリフも不明瞭なことが多く、せっかくの勢いが削がれる。

ココが、ひとりで踊ったり、演じたりするシーンでは、熱演がかえって痛々しくも見え、ココより他に適役があったのではないかと思う。



ワカナ役は、もっと前に出た(他のキャストよりも際立った)存在であってもいいと思うが、吉田紗也加さんは、どちらかというとちょっと引いた印象で、周りのキャストに埋没しやすい。

たとえば、一幕の「オバケの時間」で真ん中に立っても、どうも 場が締まらない。

ここというセリフも、なんとなく遠慮しているように聴こえて弱い。

また、身ごなしが硬くて、身体の正面だけで演じているような。



間宮あかねの福井裕佳梨さんも、演技が脆弱に見える。

演りづらい役なのだろうが、かといってあんな中途半端な表現では、本人が役に迷っているみたいだ。



美咲先生の柳志乃さんは、ジュニアとしては一時代を担ったひと。だからといって、いまなお 子役たちと同じような演技をするのはいかがなものか(初演時が加来陽子さんだったから、なおさら幼いつくりに見えた…)。



唯一、目を楽しませてくれた出演者は、まりも役の佐藤すみれさん。

もし次があるとすれば・・・この子を、ココに育てなきゃ。

というより、今回、この子でもよかったのではないか。

さすがに無理だったのかな。でも、この子がココなら、仮に下手だったとしても納得して楽しめたと思うのだが。



フィナーレのダンスに、見ごたえがあった。

アンサンブル主体のシーンを増やす方向で演出を変えても、面白かったかも知れない。





結果として、(ダブルキャストのもうひと組の様子は知らないが)いささか人材難を感じる舞台だった。



「アニー」に出演した子が、舞台子役として一歩抜きん出ることが出来た時代はもう終わったし、ミュージカルを志すジュニア世代の裾野は広がっても、舞台でそれなりの役を担える子役は必ずしも多くはいない、ということだろう。



今夏は、ジュニアキャストを多用した舞台だけでも、他に「葉っぱのフレディ」「森は生きている」「ユー・ガット・ア・フレンド」「ふたり」「アニー」などあり、さらに「空色勾玉」、多用はしていないが子役を起用しているステージなら、まだまだあるというなか、「ココ・スマイル」シリーズにしわ寄せが来たともいえそうだが・・・

(あるいは、かつてのように、それなりにキャリアのある子で主要キャストを組んだ時代から、今後は「ココ・スマイル」から新人を育てて行くことになるのかしら?)





蛇足だが。開演前の博品館のエレベーター、混み過ぎで、げんなり。また、なっかなか、8階に着かないんだな、これが(苦笑)。