鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡
中本千晶『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』(ポプラ新書、800円+税)
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201133.html
https://www.amazon.co.jp/dp/4591156028/#productDescription_secondary_view_div_1505441504014
9月のポプラ新書の新刊。
私のような、いまだに生で宝塚歌劇を見たことがない読者が興味をもって読める内容。
以前に読んだ、
宮本直美「宝塚ファンの社会学 スターは劇場の外で作られる」(青弓社)
は、部外者には分かりにくいタカラヅカファンの世界を、
森下信雄『元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略』(角川oneテーマ21)
では、ビジネスの視点からタカラヅカを解説していて、どちらも読みごたえがあったが、
この『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』も、またまたおもしろい。
小林一三が宝塚歌劇に懸けた想いをベースに来し方を振り返りながら、なぜタカラヅカは100年を超えて支持され、商業演劇のトップたる人気を誇っているのか。タカラヅカ独自の魅力と、舞台芸能としての特長について、その舞台裏にも触れながら、タカラヅカワールドを紹介、考察している。
タカラヅカの上演時間は、ピッタリ3時間なのですって。
出演者はもちろんのこと、演出家、スタッフ、劇場、稽古場、大道具、小道具、衣裳などなど、なんでも自前で持っている。大劇場ではオーケストラも専属。(東京宝塚劇場のオーケストラは専属ではなくて委託)
タカラヅカが出している出版物やプログラムは、「池田文庫」に収められている。(阪急の図書館があったなんて、はじめて知った!)
タカラヅカのモットーとして広く知られる「清く正しく美しく」は、本来は、その前に「朗らかに」が付いていて、朗らかに、清く、正しく、美しく、だったのだと。