おばこ/渡辺えり愛唱歌 (三越劇場)


松竹主催、三越劇場提携
  (2月4日〜22日まで)

一、おばこ(二幕)
  北條秀司 作、大谷亮介 演出
二、渡辺えり唱歌 ―歌とおしゃべりで綴る―(一幕)


2月12日(金)に、午後3時開演の回を観劇。

実質的な、渡辺えり公演ということでしょうか。

子役が出演しているというので、見に行ってみた次第。

上演時間は、「おばこ」が、1時間30分。休憩 30分。「渡辺えり唱歌」が、30分。

この回は、午後5時28分に終演。

公演プログラムは、1000円。

プログラムによると、「おばこ」とは、山形の方言で「若い年頃の娘」の意味。


客席は、2列が最前列。下手側には斜めに花道、また、客席から舞台へ上がる階段も設置されていて、下手の前方ブロックは一部座席が撤去され、5列からになっていた。

チケットは、全席指定9000円だが、某所の得チケを買ったので、5000円+手数料。で、座席は、1階9列だった。この劇場は、1階通路前の客席は、床にほとんど傾斜がないのが難なのだが、前の列のお客さんがでかいひとでなかったのは幸い、舞台は、まあまあよく見えた。


出演の子役は、

子供: 河城英之介・高澤花楓 (ダブルキャスト ※高澤の「高」はハシゴダカ)
子供: 佐野仁香・田邉颯乙 (ダブルキャスト)
子供: 菊地慶・駒形菖伍 (ダブルキャスト)


「おばこ」は、昭和40年代前半のお話。市川翠扇の主演で初演され、その後、昭和51年1月に再演。今回はそれ以来の上演で、40年ぶりになるとのこと。今回は新派の公演ではないが、脇を固めるのは新派の俳優が多数である。

「おばこ」は、二幕三場となっているが、第一幕から第二幕第一場への転換のときには、つなぎの幕前芝居があった。

主人公の花子(渡辺えり)やその妹・くみ(藤田朋子)は庄内の出で、第二幕はその実家の家や最上川のほとりが舞台になるので、セリフの山形なまりといい、時代はちがっても、なんだか「おしん」を連想させられた。新派からの出演者には、舞台の「おしん」にも出ていたひとが何人もいるし・・・

上州の温泉町にいる気のいい芸妓・花子は、良家に嫁ぐことになった妹・くみのために豪勢な花嫁支度を整えてやろうと、誘われていた北海道行きの話を承諾する。しかし、妹の婚礼のために帰った故郷では、父母や幼馴染らの歓迎の傍らで、温泉芸者の花子を忌避する旧弊な仕打ちも待っていた。妹の幸せのために、泣く泣く婚礼への参加をあきらめた花子は、くみの花嫁行列をそっと見送る。・・・と、簡単に書くとこんなお話。

ペーソスはたっぷりだし、こういう人情芝居を飽きさせずに見せらるのは役者が上手ければこそではあるけれど、さすがに今日的とはいいがたい作品で、40年上演されなかったのももっともかな、と思ってしまう。ただ、三越劇場という空間や客層には似合ったところも感じられて、この劇場だからこそなのかも。


子役は、第二幕の「最上川のほとり」の場に、村の子どもとして、3人が出演。客席下手側のドアからの登場で、「ほーい、ほい」っていう唄をうたう。真ん中の通路にいちばん大きい子、下手側の通路に他のふたりの子という配置で、その後、舞台へ上がる。くみの花嫁行列が来ると、その行列をとどめて、振る舞いのお菓子をもらうなどする。

子どもたちは、ラストシーンにも出番、唄があって、花子、重松(若林豪)ともども、幕が下りるまで舞台にいる。(なお、お芝居のカーテンコールは、なし)

いちばん小さい男の子だけ、別の役で、第一幕にも出演がある。


高澤花楓さんが、かわいくて、よかった。ズック靴を履いていた(昭和40年代っぽいね)。高澤花楓さんは、「寺子屋」出身だけど、こういう舞台だと、歌舞伎よりも顔立ちがよく分かるのが、よいな。

田邉颯乙さんは、髪型といい、履き物といい、「放浪記」のときと似たような格好だった(行商人の子ほど汚したり貧しそうではなかったけれど)。


休憩後の「渡辺えり唱歌 ―歌とおしゃべりで綴る―」は、要するに、渡辺えりさんのショー。懐かしの歌謡ポップスや、シャンソンを数曲うたう。最初は、客席からの登場。「危険なふたり」は、私にとっても、懐かしかった。

この回は、お芝居の共演者である藤田朋子&その夫君(アコーディオン奏者の桑山哲也)が、ゲスト出演した。

ゲストについてはプログラムにも載っていないのだが、どうやら、本当にサプライズ的な出演だった(?)のかな。
藤田朋子さんのブログ、参照。→http://ameblo.jp/tomoko-fujita/entry-12128028921.html


なお、当初発表されていた出演者のうち、鷲尾真知子は急病につき、代役をもって上演、とのことで、配役の変更は下記となっていた。

おかみ:泉関奈津子
母親:原田菜奈

同じく休演の情報が出ていた小山典子は、この12日から復帰したとのことである。
http://ameblo.jp/tomoko-fujita/entry-12127872287.html