シンフォニーヒルズ少年少女合唱団第5回定期演奏会(かつしかシンフォニーヒルズ)
3月22日(日)は、かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで行なわれた、
シンフォニーヒルズ少年少女合唱団 第5回定期演奏会
へ出かけた。
全席指定(チケット、一般は1000円)。チケットを買いに行ったときのこと、最初、窓口で客席中ほど中央の席を勧められたが、他に空いてませんか、といったら、前方は、まだ最前列からあった。…いくらクラシック系の演奏会とはいえ、音楽劇もあるのだから、舞台に近い座席のほうがいいに決まっている。
それはともかく、22日のモーツァルトホールは、1階客席のみで、2階席への階段は封鎖されていたから、1階座席しか売っていなかったようだ。
客席最前列中央には、数席の空席があったが、これは、音楽劇「魔女たちの憂鬱」で、宮本益光氏がその客席最前列に座って指揮をするためのスペースであった。(宮本益光氏を見ると、つい、チャイコフスキーだと思ってしまう…)
午後2時開演。
プログラムは、
[第1ステージ]
私たちのレパートリー1
「虫の絵本」より テントウムシ まど・みちお 詩、吉岡弘行 曲
「愛する歌」より ひばり やなせたかし 詩、木下牧子 曲
私たちのレパートリー2
「鯉のぼり」 文部省唱歌、荻久保和明 編曲
「ずいずいずっころばし」 石丸寛 編曲
「故郷を離るる歌」 吉丸一昌 詩、ドイツ民謡、荻久保和明 編曲
[第2ステージ]
童声合唱とピアノのための「リフレイン」(委嘱初演) 覚和歌子 詩、信長貴富 曲
未来
遠く
こみちのきもち
「素晴らしき人生」について
リフレイン
[第3ステージ]
音楽劇「魔女たちの憂鬱」 宮本益光 台本・作曲
ピアノ演奏(全曲)、神田聖子。シンフォニーヒルズ少年少女合唱団 音楽監督の宮本益光が、第2ステージ以降を指揮した。
公演時間は、第1ステージと第2ステージで、約50分。その後、15分の休憩。第3ステージ+アンコールが40分くらいで、終演は、3時45分頃。
合唱団は、小学3年生〜大学生まで、59人。メンバーの多くは、小・中学生。(配布されたプログラムを見ると、10人以内で6つの班をつくっていて、練習などのベースになっているようだ)
メンバーの約1割が、先般、同じホールで観劇した、かつしかミュージカルカンパニー銀河公演「ジャンプ!」
(これ。→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090301/p1)
に出演している。「ジャンプ!」の配役を見直してみると、子役のうち、メインといえる役の半分は、この合唱団のメンバーだったことになる。
合唱団ユニホームのジャケットは、ダブルのブレザーで、これは男女兼用なのかな。…女の子のメンバーで、ジャケットを左前で着ている子がいたから。(もし、機会があれば、夏のユニホームのステージも見てみたいものである)
開演前には、合唱団から3人(メンバーのうちでも小さい女の子が3人)出て来て、上演中の注意とお願いをしゃべるのだが、スタンドマイクが舞台からにょきにょき生えて来たのに、ちょっとびっくり(笑)。携帯電話のことや座席の移動はやめてなどの一般的な注意に加えて、拍手は盛大に、とか、途中で帰らないで下さいね、などというのが面白い。
第1、第2ステージでは、団員が何人か前に出ての曲紹介や、最近の受賞の報告などを交えて進行。
第1ステージでは、「ずいずいずっころばし」のアレンジが楽しく、「故郷を離るる歌」に余情があって、いい。
第2ステージの、童声合唱とピアノのための「リフレイン」は、シンフォニーヒルズ少年少女合唱団が5周年を迎える節目として委嘱した作品で、この日の演奏会が初演。この「リフレイン」が、素晴らしい。
未来、遠く、こみちのきもち、「素晴らしき人生」について、リフレイン、の5曲からなるが、いまの子どもたちの気持ちに寄り添うような言葉を織り込んだ詞と、合唱曲らしい美しさ、普遍性が融合している。アンコールでもうたわれた『遠く』のなかの、「♪遠くに行ってみたいんだ」のフレーズがいつまでも後味よく胸に響き続けている。
『「素晴らしき人生」について』では、女の子の朗読がとても上手かった。過剰でなく、それでいて的確な表現に富む、きれいな語りを聴かせた。
休憩後の第3ステージは、音楽劇「魔女たちの憂鬱」。
小さい頃はかわいかったのに、いまではすっかりいうことを聞かなくなったと嘆く母親たち(8人を、男子を含む合唱団員が演じる)と、嫌なことはしないと反抗期な大勢の子どもたち。ママたちと子どもたちの対立やすれ違いを、軽いタッチでコミカルに見せる。自分たちはじつは「魔女」なんだ、と主張する子どもたちは、ついにサタンを呼び出すが、サタンは子どもたちが御すことが出来ない力を持っていた。そんなサタンを退治したのは、かつて子どもだった頃に「魔女」だった母親たち。そのサタンは、じつは、彼女たちが子どもだった頃に封印した存在だった。むかし、自分も子どもだったことを思い出した母親たちと、助けられた子どもたちの絆が深まって、無事に大団円。
一見、他愛のないストーリーだが、魔女とかサタン、あるいはストーリーに寓意が込められていて、深読みをさせる作品だ。また、ランドセルや学校の制服姿で舞台に登場したメンバーたちが、楽しそうに演じていて、見ているほうも楽しめた。
このぐらいの人数の児童合唱だと、演奏中に、ひとりひとりの声を聴き分けることが出来る(もちろん、座席条件やホール環境にもよるだろうが)。演奏もよかったが、そういう意味でも面白かった。
なお、シンフォニーヒルズ少年少女合唱団第6回定期演奏会は、2010年4月4日(日)に同じ会場で予定されている。予定を頭に入れておきたいものである。
それにしても、児童合唱は、おもしろい。
ところで、かつしかシンフォニーヒルズは、2009年10月〜2010年3月まで、改修工事をする模様。なるほど、だから、次回のかつしかミュージカルカンパニーの公演会場は、かめありリリオホールになっているのだね。
(→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090319/p2)