田畑智子ひとり芝居「バッタモン」(ザ・スズナリ)


11月3日(月・祝)は、下北沢のザ・スズナリで、

田畑智子ひとり芝居「バッタモン」(作・演出 中津留章仁)

を見た。

6日間6ステージあった公演のうちの楽日。上演時間、80分ぐらい。

プログラムは、二つ折りのものが、アンケート用紙といっしょに座席に置いてあった。

通路まで補助席を入れて、ぎっしり満員。
補助席のお客さんは、指定席の観客が座席に着いたあとに、自分が座るパイプ椅子をそれぞれに持って入場して来ていた。客に椅子を運ばせるなんて、小劇場ならでは。

座席は指定席でもかなり窮屈(なのは分かっていたけど)。


このひとり芝居「バッタモン」は、客席側に対話する相手がいるという設定でもなければ、電話や配達など声や気配以外には他人が現れないというつくりのひとり芝居でもなく、また、ひとりで何役をも演じ分けるという形式のひとり芝居ともちがう。

電話やファックスも効果的に使われていたが、部屋には観客には見えないが彼女以外の他者がいたり、あるいは部屋にやって来た他者と彼女のやりとりが、そこにその人物がいるように演じられて行く。このやり方には最初のうち、見ていて違和感をおぼえた。が、途中で、これまでの彼女はいない相手とひとり芝居をしていたのだ、ということが明らかになると、ひとり芝居という設定を用いたその仕掛けにびっくり!
つまり、ひとり芝居の枠のなかで、いない人間を相手にひとり芝居をしていた、という「だまし」があって、そのだましが、観客をだますだけでなく、劇中の別の人物をだますための仕掛けでもある、という面白い構造になっていた。

彼女の婚約者の事故死に裏があって、真実が明らかになる、というサスペンス性もあって、よく出来た芝居だと思った。結末では、演じられた全てが、虚実不鮮明な曖昧さへと投げ出されるのだが、それはそれで不確かな未来の不気味さを感じさせた。


カーテンコールでは田畑智子さんから挨拶があったが、楽日だったからか、毎回何かひとことあったのかは分からない。

(バッタの大群で農作物に被害を与えるバッタテロって、可能性としてあり得るのかな?)




ところで、田畑智子ちゃんが出演した映画「お引越し」のDVDは、いまは、中古でないと入手出来なくなっているのだね。知らなかった…。「お引越し」は、中井貴一氏に足を持たれて逆さまにされるところが、かわいいよね。