ファミリーミュージカル「魔法使いサリー」


11日に、博品館劇場で、「魔法使いサリー」(原作:横山光輝、演出:桝川譲治、脚本・作詞:長田育恵、作曲:まついえつこ)を観劇。

千秋楽昼の部のSPバージョンで、子役(各役ダブルキャスト)の配役は、以下のように発表されていた。


夢野サリー:田村花恋
カブ:石井日菜
チェリー:野本ほたる

花村よし子:斉藤瑛梨寿
春日野すみれ:平田梢子
立花あおい:上之薗花奈
香月弥生:飯沼ひかる
星野まき:橋本彩花
西森歩美:乗本萌
桜井ほのか:伊東楓恋


公演プログラムは、入場の際に、カラー8ページのものが無料配付。

上演時間は、1幕60分、休憩10分、2幕40分と表示されていたが、所見の回は、1時開演で、終演が3時だったから、(カーテンコールが終わるまで)ちょうど2時間といったところ。

あこがれて人間の世界にやって来た夢野サリーが、学校に通ったり、また、魔術団に暮らす女の子チェリーと出会って、友情を育み、ひと回り成長するというお話。

魔法使いの女の子の成長譚なら、その展開の肝(きも)は、魔法が使えなくなったとき、あるいは、魔法の力では解決出来ない事態にどう立ち向かうかであるが、このミュージカルでもそこをきっちり踏まえてストーリーが運ぶので、期待以上に面白いミュージカルになっていた。

妻に去られアルコール依存症に苦しむマジシャンの父親と、彼を立ち直らせたい娘のチェリーという設定は一見ありきたりに思えたが、サリーとサリーのパパの父娘関係が並行してえがかれることで、徐々に、ふた組の父娘のドラマという構造が立ち上がって来るのが、いい。

登場人物の心情に寄り添うような、しっとりとした情感のある楽曲群が、印象的。

サリーの弟のカブが現れていたずらをする、1幕の教室シーンが、楽しい。先生とクラスメイト、サリーとカブのやりとりを舞台の上手・下手で同時進行で見せながら、ときどき、セリフが重なるあたりが、ステージングの妙。

プリマベーラによるイリュージョンがあるが、それよりも劇中にさりげなく織り込まれるちょっとしたマジックや仕掛け、照明の効果が、洒落た舞台の味付けになっていて、素敵。

田村花恋さんのサリーは、マンガのキャラクターをナチュラルな等身大の女の子として演じているのがよく、カブの石井日菜さんが個性的でとても目を惹く。「星の王子さま」でのアクセントのような役や「モーツァルト!」のセリフのない役ともちがう野本ほたるさんのチェリーは新鮮だった。飯沼ひかるさんが、かわいい。


うたへの入り方や、ダンスの振付など、ココ・スマイルっぽさが垣間見えるが、それもまた見どころのひとつなのだろう。

ただ、私は、最近のココ・スマイルシリーズよりも、この「魔法使いサリー」のほうが楽しめた。大人キャストの出番や役割りもバランスがよく、1ステージのみの観劇だったことをいささか後悔した次第。


ところで、これは全くの余談だが、「魔法使いサリー」は、かつて、劇団スターキャストが上演したときも、イリュージョンを取り入れた舞台だったのですねぇ(ストーリーはずい分ちがうものだったようですが…)。
http://starcast.musical.to/sally/
http://starcast.musical.to/sally2001/cast.html