バレエスタジオ・プリエ発表会「くるみ割り人形」全幕


先のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080119/p3)でも少し書いたとおり、

1月19日(土)は、めぐろパーシモンホール 大ホールで、バレエスタジオ・プリエ発表会を見た。


入場無料。バレエスタジオ・プリエのサイトに告知されていたように、『1階席は指定となりますが、一般の方もバルコニー又は2階の自由席でご覧頂けます。』ということで、2階席からの鑑賞。その自由席まで満席の盛況。早めに行って並んでいてよかった。

プログラムは、300円で販売していた。表紙を含めて20ページ。主宰者のあいさつ、ゲスト出演者の紹介、スタッフ、配役。
出演者が全員、ひとりずつ顔写真付きで載っていて、よく出来たプログラム。


午後4時30分開演。じっさいは、16、7分遅れての開演となり、間に15分の休憩を2回挟んで、終演は午後7時55分頃だった。

発表会は、3部構成で、演奏は録音。

第1部「フラワーフェアリー」、小品集(「アマリリス」「口笛吹きと小犬」)、「スラヴ・ヴァリエーション」、「夢見るピアニスト」、「I got Rhythm」
第2部「くるみ割り人形 第一幕」
第3部「くるみ割り人形 第二幕」

第1部は、いわゆる発表会的な内容で、そのあとがゲストも迎えての「くるみ割り人形」全幕の上演である。同スタジオが発表会で全幕ものを出すのははじめてとのこと。

主なゲストは、宮内真理子(金平糖の精)、山本隆之(王子)、鈴木綜馬(ドロッセルマイヤー)。金平糖と王子は、新国立劇場の「くるみ割り人形」の主役がそのまま来ているし、ドロッセルマイヤーは、いわずと知れたミュージカル俳優にしてオペラ座の怪人


以下は、「くるみ割り人形」についての雑感。


幕が開くと、紗幕に照明で雪。すぐにシュタールバウム家の広間になって、時計は、午後6時だ。下手から訪れるお客さまをクララたちが迎える。

クララ(多田心)がけっこう小さいので、お客さまの子どもたちもそれに合わせていて、パーティの子どもたちはかわいいイメージ。フリッツ(吉澤和花)のほうが背が高かったから、兄という設定なのかな。

ドロッセルマイヤー(鈴木綜馬)は、けれん味なしの、スマートでやさしい二枚目ぶり。たくさん人形を連れて来る。ピエロ(4人)、兵隊人形(4人)、コロンビーヌ(5人)と登場し、いずれも子どもたちが人形振りで踊り、動かなくなってしまうと、運ばれて退場。

クララがドロッセルマイヤーおじさんからプレゼントにもらうくるみ割り人形は、舞台の小道具にしては小さ目の人形。


深夜、ねずみたちの登場。ここで、子供クララから少女クララ(日向美月)に交替する。子供クララが上手にある椅子に乗って眠ったところで椅子ごとソデヘ退場し、椅子が舞台に戻って来ると、少女クララに成長。
じっさいの設定は分かりませんが、9歳くらいのクララが13歳くらいになる、といった感じでしょうか。

少女クララに替わったところで、クリスマスツリーが大きくなるお約束のシーンになり、ねずみたちに襲われるクララが人形を抱いて、いったん下手ソデへ逃げ込むと、くるみ割り人形(藤山槙太郎)が剣を手に登場。ねずみたち(9人)と兵隊たち(9人)との戦いになり、クララがスリッパでねずみの王様(川島春生)を叩いて気を逸らした隙に、くるみ割り人形がねずみの王様を倒すが、くるみ割り人形も倒れてしまう。

ドロッセルマイヤーが現れて、そのマントの後ろで、くるみ割り人形が美しい少年に変身。クララと少年の、ガール ミーツ ボーイといったシーンになり、ふたりのパ・ド・ドゥになるかと思いきや、くるみ割り人形の少年はクララをエスコートして上手へ退場。
雪の精(長谷知美 陳秀介)のパ・ド・ドゥ。つづく「雪のワルツ」では、粉雪たちにまじって、クララと少年も踊りに加わる。雪のダンサーたちの間をクララと少年が踊り抜ける振付など、舞台を大きく使って躍動感がある。


第二幕は、天使のシーンから(シャンブルウエストの天使と同じような衣裳で)。

天使たちとくるみ割り人形の少年に導かれて、クララはお菓子の国へ到着。金平糖の精(宮内真理子)や王子(山本隆之)に迎えられる。くるみ割り人形の少年が、金平糖と王子に、クララの助けでねずみの王様を倒したことを踊りと演技で説明する場面はなかなかの見どころ。

金平糖の精から髪(頭)に小さなクラウンを戴いたクララは、くるみ割り人形の少年と並んで、お客様として下手の椅子に座り、各国の踊りが披露されるのを楽しむ。各国の踊りは、ゲストや年長のダンサーが中心の構成だが、女の子5人のチャイナがかわいかった。また、キャンディボンボンは小さい子どもたちが10人で。

第ニ幕のクララは、くるみ割り人形の少年といっしょに、花のワルツに加わって踊るのが印象的。


子供クララが夢の中で少女クララになり、くるみ割り人形の少年がそのパートナーとして、クララを雪の世界やお菓子の国へ導くという構成がとてもいい。あどけないクララが、夢のなかでは少女になって少年と出会うという初恋のイメージがさわやか。
金平糖の精と王子、クララとくるみ割り人形の少年という、ふた組のペアの対比が効いた演出だった。


終幕のワルツのあと、紗幕が下りて、幕前に少女クララ。クララはまだ夢の世界に名残がある様子を見せるが、ドロッセルマイヤーは、そんなクララを諭して下手へ誘い、退場。

すると、紗幕の向こうは、再びシュタールバウム家の広間。子供クララがくるみ割り人形のそばで眠っている。メイド(長谷あかね)が現れ、床に寝ているクララに気づいて起こす。時計は、朝の7時。クララはひと晩、くるみ割り人形といっしょに眠っていたのだった。(このあたりは、小林紀子バレエ・シアターにも似た演出)

子供クララがくるみ割り人形を抱いて、きれいにきまって、幕。

カーテンコールは、オールキャストで、最後は、ゲスト出演者への花束贈呈。


くるみ割り人形・少年の藤山槙太郎くんという男の子が、魅力たっぷり。彼がいなければ、この演出での「くるみ割り人形」はなかっただろう、と思わせる。少女クララの日向美月さんが清楚なイメージ。


振付・指導:長谷真知子(主宰) 伊藤マリア 長谷知美


私にとって今年最初の「くるみ割り人形」だったが、とても楽しんだ。