多胡寿伯子版「くるみ割り人形」全幕 雑感
12月9日(日)に、ゆうぽうとホールで、
多胡寿伯子オリジナル演出・振付「くるみ割り人形」全幕(オーケストラ付)
を見た。
過去ログのこの(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20071112/p2)公演である。
12月に、計7ステージ見る予定の「くるみ割り人形」の最初が、この多胡寿伯子版となった。
公演プログラムは、500円で販売。
9日は、午後3時30分開演。
5分ぐらい押しての開演で、まず、オープニングパフォーマンスとして、ロイ・トバァイアス作品ふたつを、ゲストのプリンシパルダンサーが踊り、その後少し準備に時間を取り、3時55分頃に「くるみ割り人形」が開演。
第1幕が、4時45分まで。休憩を挟んで、第2幕+カーテンコール+沢木順クリスマスソング(3曲)の終了が、6時13分頃だった。
オリジナルというだけあって、凝った設定。
クリスマスに、街でひとりノラ猫(シロ)と遊ぶ淋しい少女クララ(南雲穂波)を、ドロッセルマイヤー(沢木順)の魔法が、クリスマスパーティ、雪の国、人魚の国、星の国、お菓子の国とつづく、夢の世界に招待するという進行。クララは、最初は赤いジャンパー(?)にシーンズという姿で登場。ドロッセルマイヤーのマントの影でドレスに着替えて、夢の世界へといざなわれ、最後は再び、猫のシロを抱いた街の少女に戻る。
ねずみたちとくるみ割り人形(兵隊)の戦いでは、スリッパでも靴でもなく、クララが抱いている猫(シロ)をねずみに投げて加勢すると、ねずみが猫におどろいて退散。雪の国では、ドロッセルマイヤーとクララがローラーブレードで登場。2幕の最初の人魚の国は海底で、クララは酸素ボンベに足ひれを付ける。お菓子の国にもねずみたちが現れると、ドロッセルマイヤーは魔法で猫のシロを変身(永瀬愛莉菜)させる。
また、踊りのなかでは、「あし笛」の振付がヘンゼルとグレーテルのお話になっている(配役にあった「グレーテル」というのは、「あし笛」での役のことである)。プログラムでは、そのグレーテル役のふたり(8日:小山菜摘、9日:上條小枝子)は、「チルドレンソリスト」という位置付けになっている。
ドロッセルマイヤーは、ミュージカル俳優が演じていてもバレエだからセリフはないが、マント捌きに加えて、パーティでは手品も連発、動きに独特のくせがあるひとだけに、特に第1幕での存在感は濃厚。幕開きも、最後に幕を切るのも、ドロッセルマイヤーの役割り。
シーンやダンスをパーツで見れば、美しい演出や面白い振付もあるのだが、全体的には趣向が目立って、散漫な感じがしてしまい、それゆえに、金平糖(渡部美咲)とくるみ割り人形(黄凱)のグランパ・ド・ドゥの安定感が、なによりも魅力的だった。
雪のワルツは、雪の王と女王のパ・ド・ドゥが中心だったが、もっと群舞が見たかった。
「中国」他での、「きのこの子」たちがかわいくて、これは傑作!
(カーテンコールのあと、沢木順さんがハンドマイクでうたうクリスマスソングによるフィナーレが付いた)
指揮:福田一雄
演奏:東京フェスティバルオーケストラ
ヴォーカル:東京シティーアンサンブル