「宮廷女官 チャングムの誓い」雑感


日生劇場で、「宮廷女官 チャングムの誓い」(元生茂樹・監修、今井豊茂・脚本、西川信廣・演出)を観劇。12月4日(火)夜の部で、4時30分開演。

『韓国MBC・PMC制作 ミュージカル「大長今」より』
とあるように、韓国でのミュージカル上演にヒントを得て、人気テレビドラマを舞台化したもののようである。

菊川怜の座長公演は、2005年明治座での「五瓣の椿」以来になるだろうか。


先のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20071205/p2)とも重なるが、

所見の回の上演時間は、3時間27分くらい(20分の休憩を含む)。カーテンコールは、子役を除くオールキャスト(ただし、昼の部に関しては不詳)。

子役は、チャングムの子ども時代で、渡邉ひかる・谷下空蘭 の交互出演


舞台は、第一幕が、子ども時代〜女官篇。第二幕が、医女篇という構成。

第一幕は、母(波乃久里子)と死に別れたチャングム(子役)が、カン・ドック夫妻(佐藤輝、角替和枝)に拾われ、見習いとして宮中へ上がるまでを、あっという間に見せて、同じデザインの衣裳でチャングムが子役から主役へと入れ替わってからの女官篇は、ハン尚宮(波乃久里子)とチャングム(菊川怜)が、チェ尚宮(多岐川裕美)やクミョン(貴城けい)の陰謀で奴婢に落とされ、流罪となるところまで。

第二幕の医女篇では、流された済州島で医術を学んだチャングムが医女として返り咲き、中宗王(外山誠二)の病を治して信任を得、また、ミン・ジョンホ(山口馬木也)の協力でチェ一族の罪も暴く。が、中宗王からの思いがけぬ求愛に、ミン・ジョンホを慕うチャングムの心は揺れ、さて、この三角関係の決着やいかに。というお話だ。


ドラマは子ども時代の数回を見ただけで、その後の展開についてはさっぱり知らなかったから、チャングム島流しにされ、ハン尚宮も死んでしまう第一幕の幕切れには、びっくり。主役のひとが縄付きになって、なんだか妙に色っぽく見えて、びっくり!二役の波乃久里子さんが一幕で2度死んでしまう役なのにも、また、びっくり!!お忍びで巷を徘徊していたときにチャングムを見初めていた中宗王が、チャングムをめぐってジョンホと決闘するなんて、そんなのあり?…と、またまたびっくり。最後は、舟が動いてお客さんびっくり&大喜び。ついでに、最高尚宮の前田美波里さんが格好よくて、びっくり。チェ・クミョン貴城けいさんのセリフ回しは男役そのもので、これまたびっくり。


私見では、多岐川裕美さんと波乃久里子さんは、配役は逆のほうがいいと思うのだが、松竹の公演では新派の看板を悪役にはしないか。

菊川怜さんは主役らしい華があって、きれい。素直でナチュラルな演技が、役柄にぴったり。

鼻をすすることが多かったが、これは、お芝居で泣くとはなが出ちゃって、そのまま次の場になったときに、すすることになっちゃっていたみたいだ。

菊川怜さんは、右耳の前にマイクを付けていたが、肉声が届く座席位置で見ていたので、共演者とのセリフ(声)のバランスについては違和感なかった(が、後方座席等での聴こえ方については、不詳である)。


楽しめる娯楽劇だが、一、二幕ともに、場が多いこともあり、暗転も多い。

来年2月の御園座では花道があるので、場割りや役者の出入りに、どんな変更があるのか、あるいはないのか、気になるところ。


子役のチャングムの出番は、最初だけだが、母とふたりで追われて来て、母を失い、カン・ドックに拾われ、夫婦のもとに置いてもらうために、水汲みを引き受けて上手に退場する。その後、衣裳を替えて現れると、すでに見習いとして宮中に上がったことになっている。そして、入れ替わっての主役の登場で、さらに数年のときが流れたという運び。

渡邉ひかるちゃんがとても上手くて、とくにカン・ドック夫婦との絡みがよかった。このキャスティングは、ピーターVS 池畑慎之介「一本刀土俵入」のお君役で認められたのかしら?(もしそうなら、この次は、「おしん 青春篇」あたりはどうだろうかと、ひそかに期待したくなる)


子役といえば、2008年2月の名古屋・御園座の子役が誰れなのかも、気になるところ。