彩の国さいたま芸術劇場で、再現型シアターコンサート「1824」を鑑賞。


7月7日(土)に、彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで、彩の国シアターコンサートフェスティバル2007 再現型シアターコンサート「1824」〜SILENT SYMPHONY〜(原作:岡本光弘、作・演出:加納健詞) を見た。


拙ブログのここ(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20070527/p3)で、子役の出演他について話題にした舞台である。

7日と8日の両日、計3回あった公演の、最初のステージ。
午後6時開演。途中15分の休憩がある、二幕構成。7日の終演は、午後8時40分。

公演プログラム(表紙を含めて、16ページ)は、入場の際に、無料配布。

ロビーでは、公演DVDの予約を受け付けていたが、これは、当面、関係者と「フェスティバルサポーター」を対象に販売する予定とのことで、1000円払ってサポーターになると、後日案内があるらしい。


「1824」というのは、ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調合唱付、いわゆる第九を初演した1824年を指している。

その「1824年5月7日」までのベートーヴェンの生き様を、芝居やダンス、(ベートーヴェンの曲の)クラシック演奏、ハンドマイクのヴォーカルによるオリジナル曲、それにスクリーンの字幕や映像も採り入れながらえがくつくりのステージである。


進行役(案内人)の俳優による語りの比重が大きいこともあって、どうしても、ベートーヴェンの生涯をえがく演劇部分は説明調で、シーンも断片をつなげた印象だ。テレビでよくやっている、有名人の再現ドラマの実演版、みたいなところがある(「再現型」と銘打っているのは、再現ドラマふうという意味ではないはず)。クライマックスの第九のシーンを別にすれば、総じて、ベートーヴェンという人物の苦難の部分を舞台に乗せているから、ピアノや弦楽四重奏、ハンドマイクのうたの挿入も展開の弾みにはならず、かえって音楽部分が重たく感じられた。また、振付にももう少し工夫が欲しい(なんとなく野暮ったい)。

と、二幕の途中までは、ややしんどい気分だったのだが、二幕の後半、第九誕生への流れが見えてからは、舞台は、俄然面白くなった。過去の登場人物たちを再登場させ、それまでに演じて来たエピソードのパーツを、第九とその演奏の成功という主人公の到達点へとまとめ上げ、昇華させた手法には、見ていて、気持ちが高揚した。クライマックスのオーケストラ演奏のシーンはドラマティックで、改めて、名曲の持つ力を感じさせられた。


出演の子役について、配役を書いておくと、以下のよう。(所属は、近藤龍成くん以外の7人は、NEWSエンターテインメントになっている)

幼少ベートーヴェン:山口尚人
その妹ヨゼファ:鶴見愛莉
幼少(弟)カール、幼少(甥)カール:近藤龍成
幼少(弟)ヨハン:中山雄介
ブロイニング家の子供:矢島夏美
ブロイニング家の子供:小貫みなみ
ブロイニング家の子供:小貫千夏
ブロイニング家の子供、貴族の子供:桑原佳菜子

子役は、全員、一幕にも二幕にも出演がある。


(ベートーヴェンの妹ヨゼファ役)鶴見愛莉ちゃんを見る機会をようやく得た。舞台映えする子だ。ヨゼファは「わかった」と何回いったかな。ヨゼファはすぐに死んでしまい、もう出ないのかと思ったら、二幕にまた出て来たので、よかった。
矢島夏美ちゃんは、想像していたより小さかった。

ピアノが下手に置かれて、私の席からでは、ピアノの前に座った子役や演奏者が見えなかったり、子役がピアノの陰になる場面があった。オーケストラ他のクラシック演奏があるから、前方席の料金を安くしている席割りかと思っていたが、前方座席からだとピアノのせいで一部死角も生じていた。


ベートーヴェンって、難聴を隠そうとして、どんどん狷介になって行ったひとだったのだねぇ。軍隊嫌いの自由主義者というのも、今回のステージをきっかけにはじめて知った。

ところで、舞台の上から、何本かぶら下がっていた「ひも」は、あれは、マイクだったのか(最初、星か蛍として光らせる照明かと思っちゃった…)。


なお、次回公演は、2007年12月19日(水)19時〜、さいたま市文化センター大ホールにて、再現型クリスマスシアターコンサート「エルガーとアリス」と告知されている。