石川さゆり特別公演を観劇



5月10日(水)は、帝劇で「エリザベート」の昼の部を見たあと、地下鉄で人形町へ。



明治座で、石川さゆり特別公演の夜の部を観劇。



5時開演。

お芝居の「長崎ぶらぶら節」が、1時間50分。休憩が、30分。石川さゆりオン・ステージが、1時間35分。(ロビー表示のタイムテーブルより長くかかり)この回の終演は、8時55分頃。



休憩が1回という新宿コマ公演みたいな時間割で、たっぷり4時間弱である。



うた一筋でやって来てお芝居との二部立ての公演はあまり縁がないという石川さゆりさんは、明治座も、5年ぶり二度目の登場とのこと(オン・ステージでの本人言)。



すでに、映画で吉永小百合、テレビで市原悦子、帝劇の舞台では佐久間良子が演じている「長崎ぶらぶら節」の主人公、芸者愛八。歌手座長が演じては、荷が重くないか、などという意地悪い興味もあったのだが、なかなかに魅せて、立派な座長ぶり。端正な演技に好感が持てるのに加え、劇中、「ぶらぶら節」以外にもうたを聴かせ、また、三味線を披露するなど、石川さゆり色がきれいに出た舞台といえそう。北の湖理事長直伝の土俵入りも見せる。



芝居全体としても原作ものらしい品のよさを感じたが、運びはダイジェストっぽい。原作を読んでいない身にも、かの直木賞受賞作はこんな話かと分かるつくりは親切だが、演出や構成は大劇場の商業演劇そのもの。転換つなぎ以外の何物でもない幕前芝居と、説明調のセリフ、ナレーションで次の場へストーリーを渡すなど、このあたりはもう少し工夫がないものかと思う。また、花道のある劇場なのに、花道を使わないのは、何か訳があったのだろうか(オン・ステージで花道からの登場がいちどあるだけ)。



子役は、愛八の子供時代のサダが冒頭の回想シーン(網場で生まれたサダは10歳で長崎の置屋へ売られて行った)に。商家の娘は、舞台にいる時間はけっこうあるが、ラムネを飲んでいたり、精霊流しで幕前を下手から上手へ歩いたりと、ほとんどガヤといった感じ。子役のなかでは、辻占売りのお雪がいちばんいい役(なのは当然といえば当然か)。



この日は、商家の娘が石川朱莉さん、お雪が平本亜夢さん、サダは判別出来ず(もしかして、東俳の子が3人出てたのかしら??)。

お雪ちゃんは、地毛でやってるんだね。



ところで、どうして、お雪を「おゆきち」というのだろう。長崎の方言?それとも、丸山芸者特有のいい方?おゆきちは、母ちゃんに捨てられて、肺病になって、可哀想だ。舞台で踊って見せて欲しかったな、おゆきち。



第二部のオン・ステージは、石川さゆり本人がトークを交えながらの進行。歌謡ショーというと、おちゃらけた司会者が登場してくだらないことをしゃべってげんなりさせられることがままあるが、そんな弊には陥らない。(第一部の座長ぶりと同様に)こちらも端正に品よき進行なのが何より。



オン・ステージでうたった「岸壁の母」。二葉百合子指導とのことで、途中のトークでは、この公演、二葉百合子さんが見に来ているとのことであった。休憩中のロビーでは、俳優の林与一氏も見かけた(気づいたお客さんたちが握手を求めていた)。





つい数時間前まで「エリザベート」のナンバーが反響していた頭の中が、帰路はすっかり、お雪チと「天城越え」になってしまったが、これもまた、よきかな。