「信長」初日
1月2日に、新橋演舞場で「信長」を観劇。この日、初日。
公演プログラムは、2000円。1月新橋演舞場、2月大阪松竹座共通で、値段相応に贅沢な印象のプログラムである。私にとっては、大阪公演の子役と、大阪松竹座のラインナップまでこの一冊で分かるのがありがたい。
出演の子役は、次のようである。各役、交互出演
[東京]
お市(幼少時代)、お茶々: 下田澪夏・片岡芽衣
お初: 清水杏奈・峯晴香
[大阪]
お市(幼少時代)、お茶々: 小坂恵・吉野ひろみ
お初: 中村菜乃・内田珠莉
劇場ロビーに背広組が多く、新春公演の初日だからかと思いきや、そうではなくて、小泉純一郎首相が来場したためで、1階客席後ろには取材のテレビカメラが並んでいた。総理が座ったのは、1階6列23番の席だったと思う。
12時開演(この日は、5分ぐらい押して開幕)。
一幕が1時間。30分の幕間。二幕が1時間45分。
カーテンコールは、なし。
一幕が桶狭間まで、二幕が本能寺まで。
展開がダイジェストっぽいきらいはあるが、市川海老蔵の存在感と主役ぶりは圧巻だ。幼い妹のお市と砂遊びをする子役との絡みから、うつけ、美丈夫、南蛮衣裳をまとっての狂気などなど、視覚的にいろんな海老さまが楽しめる。おなじみ、「人生五十年…」の「敦盛」の幸若も。一幕も二幕も、信長の殺陣はやたらと手数が多く、槍も遣うし、それなりに見ごたえはあるが、御大将が雑兵を相手に長々と大立ち回りをするのはいかがなものかと思わなくもない。
メインキャストの若手4人(純名りさのお濃、小田茜のお市、田辺誠一の明智光秀、甲本雅裕の羽柴秀吉)がそれぞれにいい。キャラクターが従来のそれとはちがって新鮮だし、とくに、お市は斬新で面白い。
信長という人物の解釈や、本能寺の変へ到る運びに、作者(齋藤雅文)のオリジナリティーがある。
難をいえば、一部、とってつけたような安っぽいセリフ、野暮ったい演出の幕前芝居や合戦シーン。また、年配の男優に重みのあるひとがいないために、第一幕が軽く感じられたこと。とくに、斎藤道三(小沢象)が物足りなく、いっているセリフに説得力が感じられない。悪役なら「大敵」、もしくは主役の向こうをはれる格のある俳優が一枚欲しいところ。
女優(土田御前の紅貴代)と女形(市川升寿)のベテランは、上手い。
子役は、舞台の上で海老さまに遊んでもらえるお市&お茶々の子がもうけ役。一生ものだね。
(初日の子役は、片岡芽衣ちゃんと峯晴香ちゃんだったのかしら?…自信ないので、ちがっていたら、乞うご指摘)