「週間出演予定者公表方法変更のお知らせとお願い」について その3



劇団四季が、週単位の予定キャスト公表方法を変更し、同時に、新しいテレフォンサービスとして「確定キャストインフォメーション」がスタートして、1週間が過ぎました。



今回の変更で、いちばん影響を受けたのは、結局、「ライオンキング」の子役の出演情報だったといえそうです。





商業演劇における子役の位置づけは、通常は、いちばん下です。たとえ劇中で重要な役を担うとしても、出演者の連名では字が小さくなり、プログラムでは写真や紹介スペースが他より小さいのが当たり前です。



ダブルキャストなど、ひとつの役に複数の子役が配されていても、劇場や主催者が出演予定を公表することは、ほとんどありません。問い合わせれば、答えてくれなくはないですが(面倒な作業です)、なかには分かりませんといわれてしまうケースもあります。前売り開始の時点では、出演予定自体が決まっていなかったりも。



観劇当日でさえ、どの子役が出演しているのかは、とくに公表されません。公演当日の劇場ロビーなどに、その回に出演する子役の名前を掲示するという慣例は、ほぼミュージカル公演に限られたものといっていいでしょう。



一部の公演で、子役の出演予定がチラシやプログラムなどに載ることがあったとしても、それは珍しいことで、ジュニアミュージカルや子ども主体のカンパニーの場合と同じに受けとることは出来ません。

商業演劇における子役の位置付けと、ジュニアミュージカルでのそれとは、別のものです。



また、子役の出演予定をかなり先まで「公表」してしまうことのむずかしさは、たとえば、今年の「レ・ミゼラブル」帝劇公演での(リトル・コゼット/リトル・エポニーヌの)キャストスケジュールの混乱などが示していそうです。





1995年に、「美女と野獣」東京公演が開幕後、キャストフォンを聴き、いちばん驚いたのは、ビーストのファーストキャストと思われていた某俳優が出ていなかったことよりも、チップ役の出演予定を1回ごとにアナウンスしていたことです。・・・劇団四季は、子役でも情報としては平等に扱うのか!と、これは、私には大変新鮮で、さすがは劇団四季だ、と(当時は)思ったものでした。



今回の、週間出演予定者公表方法変更は、それ以来、10年近くつづいていたことが行われなくなったということでは、サービスの低下であることは確かです。

しかし、子役の出演予定情報の提供という意味では、この7月までの劇団四季が、商業演劇における常識以上のサービスを提供していたのだということは、憶えておきたいと思っています。





(このテキストは、とある方のご意見に触発されて書いたもので、ご意見へのお返事を兼ねています)