「モーツァルト!」大阪公演



6月25日(土)は、梅田芸術劇場で、「モーツァルト!」の昼公演(12時開演)を観劇。



初演のときの輝きを失なっていない舞台は、すばらしく魅力的だった。心をゆさぶってやまない音楽、ことばが旋律ととけあい、ときに官能的に胸に響く訳詞。

そして、中川晃教のヴォルフガングは、圧倒的だ。なにより見事なのは、この再演までにキャリアを重ねていながら、演技に「あく」や過剰さがなく、役の鮮度がまったく落ちていないことだろう。



アマデは、初演時と較べてメイクが少しちがうようで、眼のラインをくっきり描き、より意思的に見せている。



その黒沢ともよのアマデが、立派な肖像画の顔。(← 渡辺保ふうに)

女の子が演じていることを感じさせず、中性的だ。

大きな眼は、冷たさをたたえつつ、怜悧な印象。…あの眼で上から見下されるヴォルフガングはいかばかりか。



衣裳のコートのそでが長過ぎるのを見ても、(身体の)サイズは小さいはずだが、胸をぐっと反らせた特徴的な立ち姿や、手を差し出すときの角度など、身体の使い方でアマデの存在感を大きく、きっぱりと見せていた。

小学3年生という年齢を忘れさせる上手さである。



死ぬ間際に、ヴォルフガングと向かい合ったとき、憑き物が落ちるようにすーっと表情が変わったのが、ドラマティックだった。





第一幕の「影を逃がれて」では、(2002年の公演にはなかった)小さい机が置かれ、アマデはその上に譜面帳を広げて羽根ペンを走らせる。

さらに、一幕の幕切れで、最後に、ヴォルフガングの腕に羽根ペンを突き立てるアマデのアクションが大きく見えた。



舞台美術の(2002年との)異同では、第一幕の「ウェーバー家」で使われる、吊り物の「地図」がおもしろかった。



ヴァルトシュテッテン男爵夫人(香寿たつき)のうたう「星から降る金」が、家族のドラマを際立たせ、心にしみる。





黒沢ともよちゃんは、カーテンコールでは役が抜けて、ずい分、はしゃぐ感じだ。



オーケストラの演奏終了後にも、緞帳前下手からヴォルフガングとアマデが登場して拍手にこたえ、舞台中央で中川・黒沢のダブル投げキッス連発のサービスがあった(けど…これって、お約束なのかしら、それとも楽が近いから?)。





終演は、3時28分頃。

プログラムは、1600円(袋つき)。

(本来は、大阪公演への出演予定はなかったらしい)伊藤渚アマデの紹介は、差し込みになっていたが、なぜか ひとりだけお誕生日が記載されている(わーい!)。