パパ、アイ・ラブ・ユー!

4月のはじめに、20年ぶりぐらいに、

アルゴミュージカルキッズ
「パパ、アイ・ラブ・ユー!」

のビデオを見た。(某公演のプログラムを探したついでに、押入れの奥のダンボール箱のなかから引っぱり出したのだが、なかなか見つからなくて、けっこう手間取った。「アイスクリーム応援団」もいっしょに見つけた。そのうち、「魔法使いの夏休み」も見つけよう)

値段を見ると、税込3000円になっている。このビデオは、たしか、1994年に、他の3作品といっしょに発売されたのだったよね。


どうして、「パパ、アイ・ラブ・ユー!」なのかといえば、戸田市民ミュージカルの「コバルトブルーの少女」と「「リバー ♡ マイ・ラブ」を見たとき、どっちも、「パパ、アイ・ラブ・ユー!」に似ている、と思ったのだよね。
で、じっさいにどれくらい似ているのか、それほどでもないのかを、「パパ、アイ・ラブ・ユー!」を再見して確かめてみたいと思っていた。(もちろん、同じひとが手がけているのだから、作劇的に似ていることは、別に不思議ではないのだけれど)


まず、学園ものであること。「パパ、アイ・ラブ・ユー!」は、サンバード学園。「コバルトブルーの少女」と「リバー・マイ・ラブ」は、リバーサイド学園。「パパ、アイ・ラブ・ユー!」は、1990年の上演で、その頃のアルゴは、往時の長崎屋がスポンサーについていて、長崎屋の愛称がサンバードだったからサンバード学園にしたのでしょう。

そこに、異世界からの転校生がやって来て、最後にはまた去って行く。「パパ、アイ・ラブ・ユー!」では、ヒカル=アルゴランド星から来た王子さま。「コバルトブルーの少女」なら、水神様のもとから遣わされた水野ゆかり。「リバー・マイ・ラブ」だと、クラゲ大王の使者である渡良瀬誠。

「パパ、アイ・ラブ・ユー!」のサンバード学園は、管理主義が横行する学園で、体制側である生徒会と、それに対抗するリベラル派の演劇部が対立を経て、最後は生徒みんなでミュージカルを上演するという流れになる。「コバルトブルーの少女」では、人間界を破壊しようとするナマズの企みで、自由な校風の学園が、規律派とリベラル派に分裂して対立する。

劇中劇としてのミュージカル上演がクライマックスになるという点では、構成として「パパ、アイ・ラブ・ユー!」に近いのは「リバー・マイ・ラブ」。どちらも、最後には、異世界からの転校生のカミングアウトがある。
「コバルトブルーの少女」の場合には、物語の佳境にハロウィンパーティーが置かれるが、こうした祝祭的なショーアップシーンからクライマックスへ向かうという展開は、たとえば、チャイナタウンのお祭りで京劇シーンがある「アイスクリーム応援団」と比較するのがいいのか。

「パパ、アイ・ラブ・ユー!」も「リバー・マイ・ラブ」も、劇中劇のミュージカルが、作品のテーマと重なる内容としてつくられている。また、「パパ、アイ・ラブ・ユー!」の劇中劇は、リア王のパロディでもあるのだけれど、「リバー・マイ・ラブ」での劇中ミュージカルは、有名ミュージカル作品を連想させるような設定、シーンを取り込んでつくられている。


パロディといえば、今回、ビデオを見て気づいたのは、「パパ、アイ・ラブ・ユー!」のなかの、アイミと王子さまの出会いのシーンで、ふたりのデュエットナンバーがあって、その最初に、アイミが王子さまに「雨」と「夢」のイントネーションをレクチャーするくだりがある。それって、「マイ・フェア・レディ」のプチパロディだったのか、と。

また、「パパ、アイ・ラブ・ユー!」の王子さまは、イメージ的には「星の王子さま」だが、設定としては、むしろ、かぐや姫だっだことに、今回ビデオを再見して気がついた。


ビデオを見返すと、「パパ、アイ・ラブ・ユー!」では、80年代から90年代はじめにかけて問題になった管理教育を、「アイスクリーム応援団」ではバブル期の地上げをストーリーのなかで扱っていて、この時期の作品は世相を反映して創られていたことが分かる。

「パパ、アイ・ラブ・ユー!」が、いまだと、とてもおもしろく見られることに、ちょっとおどろいた。(むかしは、あまり好みの作品ではなかったが、それはきっと、観客としての私が若かったということが理由のひとつだろうし、個人的な経験として自分にとっての父親が嫌悪の対象でしかなかったからでもあろう)


ま、でも、犬石隆作品によく見られる「パターン」というなら、ヒロインもしくはそれに準じる人物が、客席へ向かって、ここはどこで私はだれと名乗って語り手になるとともに、大勢の出演者が舞台に現れる群舞や群衆シーンを出して、おおまかな設定の説明や主な登場人物を紹介するという、幕開きから導入部分でしょうね。

ところで・・・・アルゴミュージカルのオンラインショップを見たら、「魔法使いの夏休み」も「アイスクリーム応援団」も「パパ・アイ・ラブ・ユー」も、まだビデオは在庫ありになっているけど、いまでも買えるの?



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