アイランド〜かつてこの島で〜

先週は、六行会ホールで、

ミュージカル座公演「アイランド〜かつてこの島で〜」

演出:中本吉成
翻訳:吉田英美
訳詞:芝田未希
音楽監督:久田菜美
振付:荻野恵理

を見た。

上演時間は、約1時間30分で、休憩なし。公演プログラムは、1000円。

音楽は、ステージ奥の下手側、高い位置で、5人編成の生演奏。

ロビーから客席への入口は、下手側の扉のみの使用で、上手側は封鎖されていた。

ミュージカル座が翻訳ミュージカルを手掛けるのは、これがはじめてとのことである。

このミュージカルの原題は「Once On This Island」で、過去には、「楽園伝説」というタイトルで翻訳上演されたことがあり(1995年)、このときの主演は西田ひかる(リトル ティ・モーンは小此木麻里)だったという。
http://ameblo.jp/5-20-2/entry-11618480908.html

検索すると、他には、劇団碧という某有名大学の学内劇団(?)が、2006年に上演したことがあった模様。


さて、このミュージカルは、泣いている女の子(リトル ティ・モーン役の子が演じる)にお話を語るという大枠があって、そのお話が演じられるという設定のようで、コロスというべきアンサンブルのメンバーが語り手として脇を固めて進行する。

子役の女の子(所見のステージは、清水詩音ちゃん)は、身分ちがいの恋をするヒロインのティ・モーンの子ども時代=リトル ティ・モーンを演じるのだが、それはつまり、お話の聞き手であり、また語り手の一員にもなる訳で、ティ・モーン役を主演者にバトンタッチしたあとも、最後まで出番があって、ダンスシーンや、ときに影歌でも参加する。

リトル ティ・モーンは、小さなみなしご、なのですって。彼女も、ミュージカルではよくある「孤児」の女の子だ。

メインストーリーであるティ・モーンの悲恋に限ってみれば、彼女がなぜあの男をあれほど献身的に想い慕うのかが理解しづらいところもあるし、また、4人の神々(精霊?)たちの人間に対する態度がどうにも鼻につくなど、見ていて気持ちのいい作品とはいいがたい。

ただ、このミュージカルには、ティ・モーンの報われぬ恋の話を軸にして、その前の世代(白人との混血で裕福な一族と、島の人間たちとの身分差が生まれた経緯)から、階級を超えた恋が実るティ・モーンの次世代の話にまで及ぶ島のクロニクル的な趣があって、ひとつの共同体に語り継がれる物語、という意味合いにおもしろさと特徴があるのだろう。


(開演前に会場のロビーにあったお花を見ていたら・・・いっしょにリトル・コゼットを演ったふたりからリトル ティ・モーン役のそれぞれに贈られていたお花は、お揃いだったね)