マザー・テレサ 愛のうた(THEATRE1010)


ミュージカル座創立20周年記念公演

ミュージカル「マザー・テレサ 愛のうた」

脚本・作詞・演出・振付:ハマナカトオル、作曲・編曲・音楽監督:tak

シアター1010で、2月21日(土)の昼公演を観劇。

 過去ログのこの公演(→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20141209/p4)

ダブルキャスト月組で、午後1時開演。上演時間は、2時間45分(休憩を含む)。

座席は、7500円のS席だったが、実質的な最前列。

公演プログラムは、1000円。


子役(女子は、ダブルキャスト)は、以下のような配役になっていた。

リトル・アグネス/フリーダ: 山口のん 小6(月組)・大山真白 小6(星組)
リトル・アギー/アニラ: 三田香菜 小6(月組)・石井杏奈 中1(星組)
カマラ: 笠原愛心 小4(月組)・岡田カレン 小4(星組)
マユリ: 坂本愛奈 小3(月組)・國澤菜々香 小3(星組)
タラ: 藤田愛美 小4(月組)・伏見桃 小2(星組)
クマル: 松本涼真 小5(月組星組)
マルコ/マヘシュ: 黒尾怜央 小3(月組星組)
リトル・ラザール/アンワル: 高橋大河 小6(月組星組)
アショク: 山口れん 小2(月組星組)


事前に発表されていた子役の役名は、スラム街の子ども役のもの(アンサンブルとして別の役でも出る子がいる)。
役名がふたつある子役のひとつ目の役は、いずれも舞台の序盤のマザー・テレサの子ども時代とその共演で、リトル・アグネスがマザー・テレサの少女時代、リトル・アギーはリトル・アグネスの姉、リトル・ラザールはリトル・アグネスの兄。リトル・アグネスがパンを分けてあげる男の子がマルコ。

リトル・アグネスの役は、聖歌隊聖フランシスコの物語を演じて、ソロでうたうなど、ヒロインの少女時代に相応しいしどころがあり、山口野乃花ちゃんの見せ場にもなっていて、その演技や歌唱が楽しめた。(図書館のシーンの途中で、大人のキャスト=主演者に替わる)

子役の出演は第一幕が中心だが、第二幕にも、マザー・テレサが孤児のために聖なる子供の家をつくるエピソードで出番がある。


このミュージカルは、マザー・テレサがどんなひとでどんなことをしたのか、その人生を概観するつくりになっている。マザー・テレサという名前ぐらいは見聞きしたことはあっても、具体的なことはほとんど知らないという(私のような)観客には、いいレクチャーとなる内容だ。

マザー・テレサ(伊東えり)の伝記の執筆者だというジャーナリスト(岸田敏志)をメインの語り手に、コルカタで活動をはじめたマザー・テレサに部屋を提供した支援者マイケル・ゴメス(原田優一)をもうひとりの語り手として、舞台は進む。時代背景や社会状況とともに、マザー・テレサの誕生から、故人となるまでが、易しく書かれた伝記を読むように展開するミュージカル。

修道女になることを家族から反対されても初志を曲げないことで母親のほうが折れ、貧民救済活動のために修道院を離れてスラムに入ることを教会から止められても意志を貫くうちに許可が下り、ヒンズー教の施設の使用に関して反対や誤解を受けても、粛々とするべきことを行なう姿で理解を得るなど、この「マザー・テレサ 愛のうた」を見ていると、マザー・テレサというひとは、反論をしたり、ことさら説得を試みたり、(批判や中傷に見舞われても)事を構えるということをしない人物である。
これは、結局、子どものときに母親からいわれた、よいことをするときは黙って行なえ、という教えを体現して生きた、ということなのかな。

修道女が主人公だからということもあろうけれど、このミュージカルは、色恋沙汰がほとんどえがかれないのも特長で、劇中の恋愛といえるのは、かろうじて、語り手のジャーナリストが取材中に恋人のカメラマンを喪うエピソードぐらいではないか。