悪の教典


8月上旬に、貴志祐介悪の教典」が、上・下2巻で、文春文庫から刊行予定。


悪の教典」は、最初は上下巻のハードカバーで出て、翌秋には、新書版の1巻本になって、今度はもう文庫になる。映画の公開前に文庫化しようということもあるだろうが、サイクルが早いな、と。

私は、新書版が出たときに買って読んだ。


この小説は、担任教師が、生徒(ひとクラス全員)を皆殺しにしようとするストーリーで、主人公の高校教師は読めば明らかに発達障害としてえがかれている。たとえホラー小説だといっても、これほどのベストセラーになれば、倫理面や発達障害の扱い方という点で、何らかの異議申し立てをするひとがいても不思議ではないのに、そんな話は聞こえて来ず、ミステリーとして高い評価を得て、賞まで受けているのだから、かつて、高見広春バトル・ロワイアル」が物議を醸した頃とは、ずい分、時代も変わったのだと思う。そもそも、懸賞小説の応募作と、既成作家の作品とでは、受け止め方が異なるのかも知れないが。

その「バトル・ロワイアル」と同じに、男女ひとりずつが生き残るというのは、これは、意図的なものなのか?(小説としては、「バトル・ロワイアル」のほうが、おもしろい)


だけど、いまの世の中、何らかの理由で(あるいはとくに理由もなく)、教え子を大量殺戮する教師とかが、じっさいに出現したとしてもおかしくない時代だとはいえそう。


映画「悪の教典」(http://akunokyouten.com/)のホームページがリニューアルされて、オープニングに生徒役の顔写真が出ているが、だれだかよく分からないなぁ…