新派アトリエ公演「女の一生」三幕


10月16日(日)は、三越劇場

新派アトリエ公演「女の一生」三幕まで
(森本薫:作、戌井市郎:補綴、大場正昭:演出)

を観劇。

午後3時開演。会場掲示の上演時間は、1時間45分。


十月新派公演「女の一生」を上演中の三越劇場で、この1公演のみ、第三幕までを若手キャスト(というより今回は中堅どころが多いのかな?)で上演するもの。

出演は、

布引けい: 石原舞
堤栄二: 井上恭太
堤しず: 矢野淳子
堤章介: 田口守
堤伸太郎: 只野操
堤総子: 久藤和子
堤ふみ: 松村沙瑛子
野村精三: 木内宣輝
知栄の少女時代: 伊集院茉衣


一昨年(2009年6月)に同じ劇場で上演されたアトリエ公演「女の一生」は、第三幕までの役柄と若手のキャストとが上手くマッチした、見ごたえのある好舞台だったから、今回も大いに期待していたのだが、今回は配役のバランスの悪さもあり、なんとも奇妙な舞台だった。


とくに、堤伸太郎。あれは、どう見たって、ミスキャストでしょう。彼が登場人物のなかでもっとも年上に見えるほどに老けていて、しずの息子、章介の甥には、全く見えない。学生服の似合わなさはご愛嬌としても、第二幕での姿はまるで隠居老人のようだ。髪も薄くて、せめてそれらしいかつらぐらいはなかったものか?と思う。
弟の栄二役が若作りな演技をすることもあって、伸太郎の老けぶりがさらに際立ってしまい、兄弟のはずなのに、祖父と孫みたいであった。そんなだから、当然、けいと夫婦というのも、見た目の不自然さが否めず、演技でどうするという次元を超えて、不適切な配役としか思えなかった。
この役だけでも、ちがう役者を起用すれば、舞台全体の印象も、けっこうちがったものになっただろうに。

主役の布引けいは、各幕ごとの変わり映えがもうひとつで、前の幕のあの娘がこうも変わったかと、パッと見た者の目を惹くとともに、年月の流れを印象付けるような存在感が不足気味。第一幕、第二幕は身体のこなしに娘らしい軽味や若さの華やぎが感じられず、第三幕になれば違和感はなくなるかと思っていたら、なんだか芸者が現れたような女主人だった。


子役を含むオールキャスト(9人)でのカーテンコールが付いた。

伊集院茉衣ちゃんを見たってことに満足するしかない(母親のけいがお土産を忘れたことに拗ねる様子がいいな。花火もしてた)。


一昨年のアトリエ公演「女の一生」のときと同じ配役で「再演」すれば、きっと面白かったのに…。

おかげで、昨年見た文学座の「女の一生」を、もういちど見たくなった。また、やらないかなぁ。