星守る犬


公開日に、映画「星守る犬」(瀧本智行 監督)を見た。

上映時間、2時間8分。パンフレット、600円。


失業し、妻や娘とも別れ、愛犬(ハッピー)を伴なっての車上生活の果てに、のたれ死にした身元不明のおじさん(役名は「おとうさん」=西田敏行)の足跡を、残されていた何枚かの受取やレシートを頼りに、市役所職員の青年・奥津(玉山鉄二)が訪ねるというお話なのだが、調査に携わっているのでもない人間が休暇を取って行なうことなので、判明することは限られてしまって、ひとりの人物の過去探しとしては、つくり方が中途半端。

にもかかわらず、玉山鉄二公務員には知り得なかった西田敏行おとうさんの過去の暮らしや家族のことまでがえがかれるために、映画の視点がストーリーテラーであるはずの公務員青年に統一されていないという、見心地の悪さも感じる。

玉山鉄二演じる青年を、調査のノウハウを持っている役柄にして、本格的に死者の過去をたどる展開にするか、そうでなければ、小細工なしに西田敏行おとうさんのストーリーで貫いたほうがよかったのに、と構成に不満を感じた。

飼い主が死んだあともパンの耳を拾って来るハッピーが健気。ハッピーは、キャンプ場で怪我をさせられなければ、まだまだ生きていたのかな?いまの世の中、仕事か家族か住まいのどれかひとつでも失くすと、なだれ式に車上生活か路上暮らしになりかねないのが現実だけど、最期まで飼い主を慕ってくれる犬に看取られれば、それなりに幸せといっていい末路なのかも。


男子子役の3人(根岸泰樹、平田敬士、村田義仁)は見れば分かるからいいとして、西田敏行の娘役の女の子はだれ?(クレジットを見ると、田中愛理、松元天音、神田夢咲のどれかだろうから、名前の並びからすると田中愛理という子かな…)