東京シティ・バレエ団/ティアラ“くるみ”の会 第25回くるみ割り人形(ティアラこうとう大ホール)


12月26日(日)に、ティアラこうとうで、

東京シティ・バレエ団/ティアラ“くるみ”の会「第25回くるみ割り人形」(構成・演出・振付:石井清子)

を見た。

(私がこの、ティアラこうとうの「くるみ割り人形」を見るようになって、3年目)

チラシ類といっしょに、配役表も配付。

配役表には上演予定時間も載っていて、『一幕 55分、休憩 20分、二幕 60分』。


26日は、15時開演。

公演プログラムは、500円。

指揮:福田一
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:江東少年少女合唱団


主要配役は、

クララ: 坂本麻実
客間のクララ: 川口和香
フリッツ: 岩崎佳音(※「崎」はタチサキ)
くるみ割り人形: 春野雅彦
金平糖の女王: 若生加世子
コクリューシュ王子: キム・ボヨン
ドロッセルマイヤー: 青田しげる
ねずみの王様: 堤淳


この日は、前年公演の客間のクララ(岩崎佳音)がフリッツになって、前年のもうひとりのクララ(川口和香)が客間のクララで続投という興味深い配役が、うれしい。

岩崎佳音さんは、今年(2010年)5月の、ティアラこうとう・ジュニアバレエ団第5回発表会の「人魚姫」で、主役を踊っていた。この第5回発表会のプログラムには、学年が掲載されていなかったので、過去のプログラムによれば、岩崎佳音さんが中学3年生、客間のクララの川口和香さんが中学1年生。


第一幕第一場「雪の道」。幕前で、クリスマスイブの情景や、パーティーへ向かう親子連れの様子を見せるのに加えて、上手端にはクララのお家の門があって、クララや召使いがお客様を迎えたり、フリッツも外の様子を見に姿を見せる。
(これが、たとえばバレエ シャンブルウエストの「くるみ割り人形」だと、クララの家の門は下手側にあって、門の外に出て来るクララやフリッツの様子は紗幕越しに見せる演出)

続く、第一幕第二場「クララの家の客間」では、クララとフリッツの演技(ふたりのやりとり)が細かくておもしろい。ドロッセルマイヤーの登場とともに、周囲がストップモーションになり、ドロッセルマイヤーがクララにだけ、クリスマスツリーやカッコー時計を点滅させて見せ、これがクララを夢の世界へ誘う仕掛けになる。やはり、ここは、ティアラこうとうの「くるみ割り人形」での効果的な演出。

客間のパーティーは、いたずらな兄のフリッツが上手の椅子で眠ってしまったところで終わるが、その前に、父親に叱られたフリッツが、舞台上手で(男の子が演じる)男の子の友だちとじゃんけんをしていたのに注目。じゃんけんは、最初はフリッツが敗けて、そのあと勝ったが、あのじゃんけんは段取りが決まっていたのかな。それとも、何回やるとかを決めておいての、アドリブだったのだろうか?


第一幕第四場「ねずみとおもちゃの兵隊の戦争」では、ドロッセルマイヤーが現れ、小人形の3人が登場すると、舞台が一気に幻想的な雰囲気に包まれる。
また、戦いが終わって、クララが大人に交代すると、そこでも、一瞬のうちに舞台の雰囲気が変わる。

この石井清子版の「くるみ割り人形」では、客間のクララと夢の中で大人になったクララを別々のダンサーが演じ、お面のくるみ割り人形と王子の姿になったくるみ割り人形も別々のダンサーが踊る。さらに、主役の金平糖の女王とコクリューシュ王子も登場する。(ねずみとの戦いの場でのマスクを着けたくるみ割り人形金平糖の精とグラン・パ・ド・ドゥを踊る王子までを一貫して同じダンサーが務めるカンパニーもあるから、それらとのちがいもおもしろいところ)

このカンパニーの「くるみ割り人形」では、カーテンコールの最後にクララとくるみ割り人形が登場する。ストーリーの主役にはクララが位置付けられているということで、クララの夢の中でくるみ割り人形とのラブストーリーがえがかれて、そのクライマックスは、ふたりが真ん中で踊る「花のワルツ」と見ればいいのだろう。


第一幕第五場「雪の国」では、どのタイミングで江東少年少女合唱団が2階上手バルコニーに出て来るのかチェックしようと思っていたのに、クララとくるみ割り人形アダージョを見ているうちに、ふと気が付くと、もういた(…全く注意力散漫)。

ところで、第一幕の最後、「雪の国」のラストは、クララたちがお菓子の国を目指して旅立つなか、お供の小人形のうち、ムーア人形の子が少し遅れて舞台に残って、ぴょんぴょん跳ねているうちに幕が下りる。ほとんどムーア人形の子が幕をとってるみたいな。3役のなかでも、ムーア人形は、とくに愛嬌のあるキャラクターになっているようだ。


第二幕でお菓子の国に到着してからの、くるみ割り人形とねずみの王様の戦いの再現。
小人形のコロンビーヌ、ピエロ、ムーアがそれぞれクララ、くるみ割り人形、ねずみの王様に扮し、お面をつけて舞台下手で演じる。小人形3役の見せ場のひとつだが、この子役3人が演じるときのステージ下手には、照明によって長方形の小さな舞台が示されて、そのスペースで演じていたのだと、今回の公演を見て、分かった。

夢の世界から、翌朝、もとのクララの家の客間への転換も、ドロッセルマイヤーと小人形が導くかたち。
ホントに、この舞台の小人形は、おいしい役だと思う。


26日の公演では、ディヴェルティスマンのうち、スペインとあし笛に、客間のクララ経験者を含むティアラこうとう・ジュニアバレエ団のメンバーが出演していて、それも楽しめた。

最後(第二幕第三場)の、もとの客間は、前年と同じく、今回もちゃんと客間のクララに戻って終わる。


カーテンコールは、クリスマスソングに乗せて。下手側バルコニーから、江東少年少女合唱団のクリスマスソングも。

主役とマエストロへ花束の贈呈があったが、福田一雄氏はもらった花束を(客間の)クララへあげちゃったので、もらったクララは、くるみ割り人形と大きな花束とを抱えていた。




なお、2011年の、東京シティ・バレエ団/ティアラ“くるみ”の会による公演は、12月23日(金)、24日(土)、25日(日)の3日間の予定。

また、ティアラこうとう・ジュニアバレエ団第6回発表会は、2011年5月3日(火・祝)に予定されている。