アンナ・カレーニナ (シアタークリエ)


12月25日(土)に、シアタークリエで、

ミュージカル「アンナ・カレーニナ
http://www.anna-karenina.jp/

 原作:レフ・ニコライビッチ・トルストイ
 脚本・作詞:ピーター・ケロッグ
 音楽:ダン・レヴィーン
 修辞・訳詞:小池修一郎
 演出:鈴木裕美

を観劇。


この日、初日。午後5時30分開演。

アンナ・カレーニナ: 一路真輝
セリョージャ: 飯田汐音


ダブルキャストの主演者の名前と一緒に、出演する子役の名前も、1階エントランス、入場口付近に掲示されていた。

初日のロビーに掲示されていた上演時間は、3時間15分。

第1幕 5時30分〜7時05分
 休憩 15分
第2幕 7時20分〜8時45分


公演プログラムは、1800円。
買わなかった(ああいう色合いのプログラムは、どうも苦手。値段にしても、「モーツァルト!」より高いなんて…。むしろ、普通に白黒のほうがきれいな気がする。子役のプロフィールも詳しい内容ではなかったし)。

チラシの束といっしょに、発売が決定しているDVDの申し込み用紙も配付された。申し込んだ場合、商品の発送は、2011年6月中旬予定。主演がダブルキャストなので両バージョン発売されるが、もし購入するとしても、子役にこだわるなら、1月の収録日以降に子役を確認してからでないと、申し込めなさそう。


2006年2月に、ル テアトル銀座(他に地方公演もあった)で上演された舞台の、再演。そのときは、一路真輝井上芳雄のコンビが話題で、チケット入手も激戦の人気公演だったと記憶している。が、その2006年2月は、ひどい風邪をひいてしまい、ほぼ1か月近く何かと体調が優れず、チケットを持っていたにもかかわらず、結局観劇を回避した。そのため、今回が、この東宝芸能による翻訳ミュージカル「アンナ・カレーニナ」を見るのは、はじめて。


ステージの上に「盆」があって、それでセットを回して場面転換しながら展開するのだが、劇団昴の「クリスマス・キャロル」が同じように、舞台の上に盆を置いて、それでセットを回してテンポよく進行していたから、同じようなことをするものだなぁ…と思った。

だけど、舞台に埋め込んだ回り舞台ではなく、舞台の上に載っているようなのは、シアタークリエのあとのツアー公演とも関わってのことなのだろうか?

下手側のソデへかけての高い位置で、小編成の楽団が生演奏。中央ブロックの客席最後列に音響操作卓があるので、客席のうち、A席部分の座席数が少なくなっている。


アンナ・カレーニナと、その夫のカレーニン(山路和弘)、青年将校ヴロンスキー(伊礼彼方)のトライアングルによる重苦しいドラマが展開する。情愛に欠けるロシアの高官・カレーニンとのすれちがう夫婦関係から逃れ、家庭を捨てたアンナは若きヴロンスキーとの情熱的な恋に身を委ねるが、別れも告げぬままの幼い息子・セリョージャの親権へのこだわりからカレーニンとの離婚を決断出来ず、季節は過ぎ、やがてヴロンスキーとの間にも埋められぬ溝が生まれる。

キティ(遠野あすか)とレイヴィン(葛山信吾)のコミカルな恋愛譚が明るいタッチで挿入され、重たい雰囲気の舞台のアクセントになっている。この初心なカップルとの対照で、アンナの境涯が抜き差しならない大人の悲劇として深く印象付けられ、また、キティとレイヴィンの存在は、アンナとカレーニンの関係への風刺ともとれる。


正味で3時間の上演時間。第1幕がやや長く感じるが、第2幕は張り詰めた緊張感が胸に響いて時間が短く思えた。

列車事故が絡む冒頭の導入部と、アンナの自死という終幕とを、「鉄道」で照応させた首尾は、家庭にも、不倫の恋の先にも安住出来ず、また、母の役割をまっとうすることも適わなかった女性の、その身の落ち着く先のなさを象徴しているかのようだ。

私は、登場人物のなかでは、カレーニンに感情移入するところが大きかったので、第2幕でのセリョージャとのシーンが、なかなかいい、と思って見た。


初日のセリョージャ役、飯田汐音ちゃんを舞台ではじめて見たが、大舞台をいくつも踏んでいるだけのことはあって、上手い子だね。男の子役もすでに経験済みだからか、不自然なくアンナの息子役を演じていた。第2幕で、聖書を諳んじるところや、それに続く、父・カレーニンとの芝居は、見どころである。

役名はセリョージャだが、舞台のはじめのほうには、乗客の子ども役でも出ている。


初日のカーテンコールでは、主演による簡単なあいさつが付いた。カーテンコールでのセリョージャは、カレーニンといっしょ。


余談だが、「セリョージャ」って名前、バレエダンサーの斎藤友佳理さんの子息がそうだったよね(「ユカリューシャ」文春文庫による)。