三婆 (三越劇場)


平成25年度松竹新派喜劇公演「三婆」

(有吉佐和子 原作、小幡欣治 脚本、齋藤雅文 演出)


8月18日(日)〜9月30日(月)までの巡演のなかから、4日間上演される三越劇場での最初のステージを観劇。

8月28日(水)の、午後1時開演。

ロビー掲出の上演時間は、25分と10分の幕間を含めて、3時間20分。

プログラムは、1000円で販売。

1階客席は、2列が最前列。

新派の三越劇場公演は、最前列のチケットが取りやすい。この日も、2列の席を買って楽しみにしていた。

舞台はおもしろく見たけれど、子役が出ていない。正子役がカットされていたことには、もう、がっかり。

この芝居の第三幕は、前幕から約15年ほど経って、花子(お花)と辰夫が娘の正子を連れて武市松子の家を訪ねるという場面なのだが、今回の新派の巡業では、その正子という子どもの役をカットしてしまって、子役なしに変えていた。

正子というのは、劇中ではまーちゃんと呼ばれて、ぬいぐるみを持っていて、武市家の庭ではおもたせバウムクーヘンを食べる。

新派が上演した「三婆」でも、2006年12月の新橋演舞場公演は、小幡欣治 脚本・演出で、ちゃんと子役が出ていた。前回の新派の「三婆」には、子役は出なかったようだが、これは別の脚本での上演だった。

今回は、小幡欣治脚本なのに、子役を切ってしまうという愚挙には、おどろくとともに残念。小幡欣治氏が故人となり、カンパニーにとって都合がいいように、台本に手を入れるということが容易になったのだと理解すべき事態だろうか。演出者が手を入れたのなら、「潤色」とか「補綴」とかをクレジットして示すべきでは?だって、第三幕は、三婆たちと孫世代ともいえるまーちゃんとの対比も舞台効果として意味があったはずだから。

新派は、今年の12月には新橋演舞場小幡欣治脚本の「三婆」を同じ演出家で上演するが、そこでも子役を出さないつもりなのだろうか?
[補記] 12月の新橋演舞場公演は、子役の起用あり。


三越劇場の舞台ゆえのことか、それとも巡業仕様の演出なのか、シーンの一部を幕前にして、その間にセット替えをして、終わると黒幕を開けてそのまま芝居をつなげるというのが何度かあった。

この日は、三越劇場での初日ということで、カーテンコールでは、「三婆+一爺」によるあいさつが付いた。カーテンコールでの並びは、下手側から、佐藤B作波乃久里子水谷八重子沢田雅美。(手ぬぐい撒きは、毎回あるのかな?)

けっこうお客さんは入っていた。


なお、配役は、

波乃久里子(武市松子) 水谷八重子(富田駒代) 沢田雅美(武市タキ) 佐藤B作(専務 瀬戸重助)

鴫原桂(武市家お手伝い 花子) 鈴木章生(八百政店員 辰夫) 村岡ミヨ(料理屋の手伝い 常子) 井上恭太(武市産業社員 田所/新婚の夫 山田吾郎) 半田真二(武市産業社員 馬場) 三原邦男(葬儀屋 重藤/植木屋 田中) 矢野淳子(福祉事務所員 山川) 久藤和子(女中 きよ子) 松村沙瑛子(新婚の妻 山田和子) 木内宣輝(葬儀屋 森/運送屋 千石) 中田浄(運送屋 丸島/区役所員 二上) 西田裕子(福祉事務所員 常見)