ガラスの巨塔


先月末に、

今井彰「ガラスの巨塔」(幻冬舎、1600円+税)

を読んだ。

小説として書かれているが、読者の多くは、ほとんど実話だと思って読むだろう。登場人物の名前や番組名は変えられているものの、自身の万引き事件のことにも触れているし、元「プロジェクトX」エグゼクティブ・プロデューサーによる、NHKの内幕小説として、面白い。著者による、湾岸戦争ドキュメンタリー撮影時の裏話や、看板番組だった「プロジェクトX」制作の舞台裏も、しかり。

テレビ局というよりも巨大な官僚機構であり、男の嫉妬が渦巻き、怪文書が飛び交い、他人の足を引っぱる魑魅魍魎たちの巣窟としてえがかれる巨大組織の姿には、不気味さがあふれる。