第七回亀治郎の会(国立劇場小劇場)


8月8日(土)は、国立劇場小劇場で

第七回亀治郎の会

を見物。今年は、8月7日〜3日間、小劇場で6ステージ。最初と最後のステージは、後援会だかファンクラブだかの会員限定となっていたため、一般に売り出されたのは4ステージしかなかった。

第七回亀治郎の会でのお目当ては、もちろん「お夏狂乱」(の子役)である。亀治郎の会は、下田澪夏ちゃんが「袖萩祭文」のお君で出演した、2006年の第五回を同じ国立劇場小劇場で2回見て、それ以来である。

第五回は1万円だったチケットが、今回は1万2千円とグレードアップ。この間、市川亀治郎という役者もまた知名度も含めてグレードアップしたということなのだろう。


11時開演で、30分の幕間が2回、終演予定が2時34分。じっさいの終演は、2時44分頃。(なぜか、夜の部は、最初の幕間が10分長いみたいだが、私は夜は見ていないので、この点は不詳)


演目は(ロビー掲示の上演時間)、

「お夏狂乱」(43分)、新古演劇十種の内「身替座禅」(58分)、「当日のお楽しみ!(当日発表)」

となっていたが、当日発表の演目は「忍夜恋曲者 将門」(53分)。

もちろん、市川亀治郎が三演目に主演する。


公演プログラムは、書籍仕立て(カバーは、なし)で、2000円。3演目めの「将門」のページは封印がしてあって、『警告 この中は、全ての演目が終わるまで 絶対、絶対、絶対、 開いてはいけません!』とあり、購入の際には、売り子さんが口頭で念押しまでしていたが・・・開かなかったら筋書の用をなさないので、私はサンドイッチを食いながら、さっそく開けて見た。

プログラムの出演者紹介は、子役4人も名前と顔写真だけでなく、プロフィールも付いている。これは、まさに、2000円の価値ありだ。が、何か引っかかる…と思っていたので、帰ってからすぐに調べたら、これだ!と。


プログラムでは、下田澪夏ちゃんは、『平成10年6月15日生まれ。』となっている。

が、オフィスワイツーのサイトのプロフィールでは『生年月日:1998.6.14』である。
http://www.officey2.com/common-12/22.htm

1日ちがっているじゃん。…正しいのは、どっち?


ま、それは、置いて。

坪内逍遥 作「お夏狂乱」の里の子は、

小澤正憲、下田澪夏、吉村海、安齋龍聖

(配役の名前は50音順だが、↑は、舞台に里の子が出たときの、下手からの並びで。4人とも腕白=男の子の役)。

「お夏狂乱」の里の子は、ぜひ見てみたいと思っていたが、ようやく念願がかなった。といいつつ、じつは、もっと子役の出るシーンの比重は軽いのかと想像していたが、さにあらずで、子役目当てに見に来ても、充分楽しめる内容。

下田澪夏ちゃんがかかしの着物と笠で清十郎になるところや、里の子のリーダー格の吉村海くんなど、4人それぞれの演技やお夏との絡み、物狂いのお夏をからかって遊ぶ4人のアンサンブルにも見どころがある。何回かある「泣いた泣いた泣いた泣いた…」というのが、おもしろい。

舞台がだんだんと日暮れて行くのが、お夏の姿と相俟って、哀切さを濃くする。他に共演は、中村亀鶴(馬士)、市川段之(巡礼 婆)、市川澤五郎(巡礼 爺)。


「身替座禅」は、『市川猿之助指導』とのこと。配役を書いておくと、

市川亀治郎(山蔭右京)、中村亀鶴(太郎冠者)、市川段之(侍女 千枝)、市川澤路(侍女 小枝)、奥方玉の井(坂東亀三郎)


「忍夜恋曲者 将門」は、『市川亀治郎演出』なのだが、私は、はじめて見る演目のため、従来の「将門」とのちがいが分からなかったのが、残念。

傾城如月実は将門娘瀧夜叉姫(亀治郎)は、すっぽんからの出で、面明かりを使う。

とにかく、蝦蟇が傑作。跳ね方が妙に可笑しくて、じつに爆笑ものである。しかも、そんな蝦蟇にたじたじの大宅太郎光圀(市川段四郎)って、弱ぇー!(笑) フライング蝦蟇の引っぱりの見得が、また面白すぎる(宙乗りというより、ありゃぁ、宙吊りだもの)。

主役がいないまま、本舞台は蝦蟇と光圀の見得で幕になっちゃって、なんじゃ、こりゃ?と思ったら、幕外になった。すっぽんから蝦蟇が登場し、この蝦蟇のなかから瀧夜叉姫が現れる(亀と蝦蟇の合体だったのか!)。力者(尾上音之助、市川段一郎)のからみが出て…、最後は、花道の引っ込み。


座席は、中ほどの列、花道のすぐ右側で、視界もひらけて見やすかった。

とにかく、子役と蝦蟇に尽きるのであった。