バレエ団ピッコロ第26回クリスマス公演「マッチ売りの少女」「ドン・キホーテより」


すでに、昨年(2008年)のことだが、12月27日(土)に、練馬文化センター小ホールで、

バレエ団ピッコロ第26回クリスマス公演「マッチ売りの少女」「ドン・キホーテより」

を見た。

12月27日に、昼・夜2回公演あったうちの夜のステージで、午後6時30分開演。当日券を買ったが、良席で見られてよかった。

第26回クリスマス公演の演目は、最初は「コッペリア」と発表されたが、その後、「マッチ売りの少女」「ドン・キホーテより」に変更された。

プログラムによれば、2009年12月26日の、第27回クリスマス公演では「コッペリア」を上演するとある。


「マッチ売りの少女」が約30分。15分休憩。「ドン・キホーテより」は二幕構成で、間に15分の休憩を挟んで、8時45分頃の終演。


「マッチ売りの少女」(選曲・構成・振付:松崎すみ子)は、バレエ団ピッコロのホームページからの解説を一部引くと・・・

「マッチ売りの少女」は、1981年デンマーク・オデンセ市(アンデルセンの生地)にて行われた国際フェスティバルに参加するために振付し、思いがけなくバレエ部門22カ国出品の中、第1位グランプリを受賞いたしました。その後 '83年バレエ団ピッコロ第1回クリスマス公演』をはじめとして、国内外で上演されて来た、同バレエ団のレパートリー。


クリスマス公演に合わせたようなタイミングで、「マッチ売りの少女」でタイトルロール(昼・夜とも)を演じる藤崎花美さんが、12月10日発売の「クララ」(2009年1月号)に載っていた。宣伝効果のほどは分からないが、「クララ」を見た限りでは、かわいい女の子で、なかなかのインパクトだった。


前半は、人びとが行き交う冬、クリスマスの街。貧しいいでたちの少女(藤崎花美)が、マッチを売っているが、相手にされない。そんななか、ひとりの優しい女の子(河田真澄)が、手を差しのべようとするものの、父親には取り合ってもらえず、さらには、いたずらな男の子たちにもじゃまされてしまう。

寒さに凍えそうなマッチ売りの少女が、売り物のマッチをひとつ、ふたつ…と擦ると、舞台奥の紗幕越しに、少女が幸せだった頃の記憶であろうか、仲良さそうな家族の様子や、おばあちゃん(山中有子)の姿などが浮かび上がるが、それも束の間、やがてマッチが燃え尽きると、暗闇の精(松崎えり)が現れ、少女を闇が包み込む。

後半は、前半とは対照的な、クラシックバレエらしい白い世界に変わる。暗闇の精によって天上へと召されたマッチ売りの少女は、星の王子(李悦)や星の精たちに迎えられて踊り、懐かしいおばあちゃんとも再会するのだった。


前半は、和楽器による音楽が使われていて、この和の音楽が、「マッチ売りの少女」という西洋童話の世界や洋舞との間で微妙な不協和音になっている。その不協和音、あるいは違和感が、そのままマッチ売りの少女の心象風景に重なるように思えて、意外な効果を生んでいたのが興味深い。街の子どもたちによる、児童舞踊ふうの振付も楽しめた。


マッチ売りの少女に手を差しのべようとする街の女の子役、河田真澄さんが、出色。(2008年)3月のIMAバレエフェスティバル「くるみ割り人形」でクララを演っていた子だが、今回の「マッチ売りの少女」では、子役二番手のポジションで演技力のあるところを見せるとともに、続く「ドン・キホーテより」にも出演し、結婚式のシーンに花の少女のひとりとして、文字通りの花を添えていた。


ドン・キホーテより」(構成・演出:松崎すみ子)は、「ドン・キホーテ」の抜粋というより、いわば短縮版として二幕仕立てにしたもの。

キトリ(伊藤範子)とバジル(黄凱)のふたりが、キトリの父(大神田正美)やガマーシュ(金子礼二郎)の思惑をかわして結ばれる大団円までを、ドン・キホーテ(小原孝司)とサンチョ(松原豊)を絡ませながら、キトリとバジルのエピソードで筋を通した構成。たとえば「夢」のシーンはないので、キューピッドは登場しない。
他に主な配役は、エスパーダ(梶原将仁)、酒場の女主人(松崎えり)、グラン・パ・ド・ドゥ/バリエーション1(安達芙由子)、バリエーション2(高岡優貴)。

小ホールの舞台は、踊りどころでは多少手狭な印象もあったが、左右の脇花道があり、シーンのつなぎではその花道を使う演出が見られた。