錦秋演舞場祭り 中村勘三郎奮闘 昼の部
10月23日(火)に、錦秋演舞場祭り 中村勘三郎奮闘 昼の部を観劇。
10月の新橋演舞場は、昼の部は中村勘三郎が主役の3演目を並べた十月大歌舞伎、夜の部は森光子 中村勘三郎特別公演で「寝坊な豆腐屋」(鈴木聡・作、栗山民也・演出)。
公演プログラム(筋書)は、前半が昼の部、後半が夜の部という編集で1500円。掲載の、出演者連名も別立てになっている。
見たのは昼の部のみだが、ロビー掲示の上演時間を書いておくと、
[昼の部]
「俊寛」11時〜12時15分
幕間 30分
「連獅子」12時45分〜1時35分
幕間 20分
「人情噺文七元結」1時55分〜3時20分
[夜の部]
「寝坊な豆腐屋」
一幕 4時30分〜5時40分
幕間 30分
二幕 6時10分〜7時40分
開演前に、舞台写真を物色。
中村鶴松さんの角海老娘分お光の写真は、3種類出ていたが、下を見ていたりで目線が微妙なのがやや不満。なかから、いちばんよさそうなのを1点購入。
他に子役が写っている写真は見あたらなかった。
「俊寛」は、最初の出が、中村勘三郎とは見えずに、俊寛だったところがまず印象的。旬の歌舞伎役者が自身のイメージを消して役そのものを強調する登場の仕方にインパクトがあった。
妻の東屋を殺されたと知った俊寛が瀬尾(彌十郎)に斬りつけるあたりは両者の対峙が分かりやすくて、客席から俊寛の感情に寄り添える、そんなシーンになっていた。
千鳥(七之助)は、滑稽味が強過ぎる気がしたが、ああいうものか?(役者がちがうとはいえ、前に見た魁春の千鳥とは、同じ千鳥でもずい分ちがう)
最後、船が出て、島に残されてから舞台を回すまでに、けっこう間があった。「中村勘三郎奮闘」という看板だから、たっぷり演って然るべきだろうが、詰めるところは詰めたほうが、幕切れの余韻が増すのでは。
次が、親子3人による「連獅子」。中村屋親子の連獅子はテレビ番組でも取り上げられて有名だが、私は、生で見るのははじめて。毛振りの親仔獅子は、上手に勘太郎、中央に勘三郎、下手に七之助だが、獅子の精それぞれが乗る3つの二畳台の並べ方は、横に真っ直ぐではなく、上手から下手へと、わずかずつ舞台奥へとずらして置かれるのだねぇ(花道があるための舞台上のバランスなのか、それとも何か故実や決まりごとがあるのか…)。
「人情噺文七元結」は、シネマ歌舞伎になることとも絡んで、山田洋次監督の補綴。長兵衛(勘三郎)と女房お兼(扇雀)のやりとりの面白さが増すなどしたが、本所大川端の場での長兵衛と文七(勘太郎)のシーンはいささかくどい感じも。
筋書のスペシャルインタビュー(中村勘三郎×山田洋次)のなかで、『今回のホンではお久が先妻の子だという設定になっていて、』とあるが、私が以前に見た別の役者の「文七元結」でも、お久は先妻の子となっていたから、これはとくに新しい設定ではないはずだ。
今回の「文七元結」の子役は、↓の通り。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20071005/p1
観劇日の出演は、酒屋丁稚三吉が、池崎陸くんだったが、お豆どんは、どちらの女の子が見取れず、ご免。過去に見た山口千春さんや関根香純さんのお豆よりも小っちゃいお豆。
角海老娘分お光(中村鶴松)は、お豆どんにお菓子を取って上げたり、お茶を淹れたりと、することも居住まいもきれいだった。セリフはもう少し声量が欲しかったが、いまの時期、女形の声はむずかしいのかも知れない。
角海老内証の場でのお久(芝のぶ)のつくり、とくに、しもやけなのかあかぎれなのか、その手がやけにリアルに見えて、大詰に到っての白塗りでの登場との落差が、まさに変身といった趣。
この日は収録があるとの場内放送があった。舞台手前にはフットマイクが並んでいた。
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