水の花

8月9日(水)に、渋谷のユーロスペースで、
映画「水の花
http://www.pia.co.jp/pff/mizunohana/
を鑑賞。


かつて自分と父(田中哲司)を捨てて、男に走った母(黒沢あすか)が、その男(津田寛治)と別れ、美奈子(寺島咲)には異父妹になる優(小野ひまわり)を連れて、美奈子の棲む町に帰って来た。動揺を隠せない美奈子は、ひとりゲームセンターにいた優を誘い、亡き祖父母の家へ向かう。母親との生活に不満を抱いていた優は、彼女を「みなちゃん」と呼び、ついて行く。

美奈ちゃんと優は、仲良く遊んだり、かと思うと、どちらかが相手に壁をつくったりと、ふたりの関係や距離は揺れていて、それがスクリーンの世界に緊張感を漂わせる。ふたりに無駄なセリフを喋らせないのが、秀逸だ。
家出した美奈ちゃんと優の前には、邪魔者は現れず、ふたりの時間が流れる(途中で大人が介入して来るとか、雨に打たれた優が熱を出すとか、異父姉妹が仲良くなって別れた両親の縒りが戻るみたいな、そんな安手のドラマにありがちなパターンは排されていて、それが、何よりいい)。

美奈子が母に電話をかけるシーンはすばらしく(公衆電話というのは画になるものだ)、お風呂に入るふたりや、美奈ちゃんのピアノで優がバレエを踊る(カメラを動かさずに撮っている)など、印象的な美しい映像がつづく。

優を、美奈子が母に捨てられたのと同じ年頃に設定しているのが、ストーリーの展開上も、作品の奥行きとしても、よく効いている。最後、自分から美奈子の側を去り、家へ帰る選択をする優の行動から、この映画が、一見、美奈子をえがいているようでありながら、じつは、優の幼い自立をこそ映しているのでははないかと思わせる。


寺島咲ちゃんのセーラー服姿が、かわいい!でも、優を連れて家出するときに、服を買って着替えたあと、制服はゴミ箱に捨てちゃう。もったいないぞ(笑)。


パンフレットが、600円。



9日は、台風が来たというので、天候が心配されたが午後になって雨も上がり、「雨と夢のあとに」の昼の部を見て(そのカーテンコールが終わったのが、4時8分ぐらいか)、それから予定通りに、5時から上映の「水の花」を見ることにして、山手線で渋谷へ。ユーロスペースまで早足で歩いて、汗だくになったが、上映時刻には充分間に合った(予告があるので、少し遅れても大丈夫だ)。
館内は冷房がよく効いていて、とっても涼しかった。