森の石松、あるいは「言わぬが花」
新橋演舞場の10月は、中村獅童主演で「獅童版 森の石松(仮題)」(10月2日〜26日)。
スポーツ報知の記事(獅童が「森の石松」に挑戦…伯父・錦之介当たり役を再び)によると、ひねった筋書きになるようだ。
『ストーリーは映画「森の石松鬼より怖い」を原案に、「獅童版―」としてリニューアル。舞台「森の石松」を手がける新進演出家石井が主人公。けいこがうまく進まず、大酒を飲み泥酔してしまい、目を覚ますと自分が「石松」になって、周りの人々もそれぞれの役になっているという時空を超えたハチャメチャな展開を見せるというストーリー。』とのこと。
ところで。少し前に、
小川陽子「言わぬが花」(主婦と生活社、1400円税別)
を読んだ。
萬屋に嫁ぎ、獅童を育てて というサブタイトルの通り、歌舞伎の家の嫁として小川ひな刀自の薫陶を受け、また中村獅童の母としてのこれまで。来し方や、お付き合いの要諦、自身の趣味などを、多くの写真とともにつづった本。
子役の頃や、雌伏の時代の獅童丈についての部分は、それほどページを費やしている訳ではないが、興味深く読んだ。写真がとても効果的で、配りものの表書きや短文でも気の利いたお礼状など、写真で見てこそ、なるほど、と思うことも少なからず。
著者が積み重ねた年輪が伝わって来る好著。
奥付に、「企画・構成/土肥淑江 渡辺美和子」と、じっさいに文章をまとめたであろう担当者の名前が出ていることにも好感をおぼえる。