南太平洋 (シアター1010) 続き


7月9日(木)と、7月10日(金)に見た、

映画演劇文化協会 ハロー・ミュージカル!プロジェクト

ミュージカル「南太平洋」

 訳:吉田美枝
 訳詞:岩谷時子
 演出・振付:上島雪夫

についての続き。

子役についてや、上演時間等は、→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20150711/p5

キャストは、無料配付のプログラムでは、下記のようになっている。


ネリー・フォーブッシュ(看護婦) 藤原紀香
エミール・ドゥ・ベック(フランス人農園主) 別所哲也
ルーサー・ビリス(設営部隊員) 太川陽介
ジョージ・ブラケット海軍大佐 磯部勉
ジョー・ケーブル海兵隊中尉 渡辺大輔・藤田玲 (ダブルキャスト)
ブラディ・メリー(トンキン人) ちあきしん
リアット(メリーの娘) 田中祥恵・中根百合香 (ダブルキャスト)
ウィリアム・ハービソン海軍中佐 青木鉄仁
ガーナ(エミールの娘) 小野りり子・清水詩音 (ダブルキャスト)
ジェローム(エミールの息子) 大西由馬・伊藤悠翔 (ダブルキャスト)

ピーター(海兵隊員) 中本雅俊
アンリ(召使い) 板垣辰治
ボブ・マカフリー(通信兵) 丸山泰右
バズ・アダムス(パイロット) 佐々木崇
ロバート(将校) 堀江慎也
ノエル(将校) 楢原じゅんや
シチュー・ポット(設営部隊員) 原田康正
教授(設営部隊員) 羽鳥翔太
ジョージ(設営部隊員) 北村毅
ルッカー(水平) 佐藤弘樹
フランク(設営部隊員) 佐久間雄生
エディ(水平) 上條駿

パメラ(看護婦長) 松本好永
ダイナ(看護婦) 高橋千佳
アン(看護婦) 秋山千夏
ベッシィ(看護婦) 伊藤典子
コニー(看護婦) 土屋舞
バーバラ(看護婦) 樋口綾
ドロシー(看護婦) 遠山さやか
ルイーズ(看護婦) 後藤祐香
マグレガー(看護婦) 橋爪渓
ローラ(看護婦) 今込楓
パトリシア(看護婦) 松永かなみ
ジェーン(看護婦) 内田美麗

なお、スタッフクレジットには、『フランス語指導 藤田玲』とある。


リチャード・ロジャースオスカー・ハマースタイン2世のコンビによるミュージカルは、「サウンド・オブ・ミュージック」も「王様と私」も、この「南太平洋」も、女性主人公と男性主人公の関係は、めでたしめでたしとなるのに対して、準ヒロインとその相手役の若いカップルの恋(リーズルとロルフ、タプティムとルンタ、リアットとケーブル中尉)は悲劇的な結末を迎えるという対比的構成になっている。
また、その3作品の男性主人公は、いずれも子持ちの中年である。


第二次大戦中の南の島を舞台にした「南太平洋」を見ていて興味深いのは、この「南太平洋」では、ジョージ・ブラケット大佐の海軍部隊が、当初は戦闘の最前線からは離れたところにいて、直接戦闘に加わる部隊以上に、設営部隊員や従軍看護婦がクローズアップされていることだ。また、軍内には娯楽委員会があって、余興と称して感謝祭にショーが行なわれ、そのショーが劇中劇として見せ場のひとつにもなっているのだが、アメリカの軍隊でも、士気を維持するためには、こうした娯楽が重要なものとして位置付けられていたことが分かる。

今夏、いくつかのカンパニーが劇化、上演する「南の島に雪が降る」には、同じ第二次大戦中のやはり南方の、戦闘から取り残されたマノクワリで、日本の部隊が生き延びるために「芝居」という娯楽を必要としたことがえがかれている。(こちらには、看護婦は登場しないが、作者の加東大介は衛生兵である)
つまり、「南太平洋」に登場するようなアメリカの海軍でも、(またその敵国であった日本の軍隊においても) 余興としてショーやお芝居などの娯楽が重視されていた訳で、そのことを知っただけでも、「南太平洋」というミュージカルを見た意味があった、と思う。